2017 Fiscal Year Annual Research Report
一本鎖RNAを認識する自然免疫受容体TLRの構造生物学的研究
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15J12485
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丹治 裕美 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | TLR8 / アンタゴニスト |
Outline of Annual Research Achievements |
一本鎖RNAを認識しウィルス感染や自己免疫疾患に関与する自然免疫系受容体TLR8について、その活性化を抑制するアンタゴニストとの複合体のX線結晶構造解析に成功した。本研究に用いたアンタゴニストは、コロラド大学ボルダー校のHang Yin教授らが開発したCU-CPT8m、CU-CPT9bと呼ばれる2種類であり、以下ではまとめてCU-CPT化合物と表記する。 構造解析を行った結果、アンタゴニスト結合型TLR8はリガンド非結合型構造と同様の不活性化型2量体を形成しており、アンタゴニストがTLR8の2量体界面の2箇所に結合していることが明らかになった。アンタゴニストは不活性化型2量体にのみ存在するポケットに結合しており、2量体を構成する各TLR8分子と複数の相互作用(水素結合、疎水性相互作用、スタッキング相互作用)を形成し、不活性化型2量体を安定化していた。アンタゴニストがTLR8の不活性化型2量体に結合し安定化することで、アゴニストの結合とそれに伴う活性化型2量体への構造変化を阻害すると考えられる。実際に、アンタゴニスト存在下ではTLR8にアゴニストが結合しなくなることを、等温滴定カロリメトリーを用いて示した。以上から、CU-CPT化合物に代表されるアンタゴニストは、TLR8の不活性化型2量体構造を安定化してTLR8の活性化を阻害していると結論付けた。 本知見は構造解析によって初めて得られたものであり、TLR8を標的とした自己免疫疾患治療薬の開発に寄与すると考えられる。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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