2015 Fiscal Year Annual Research Report
社会的要因を中心とした高血圧有病・未治療・コントロール不良を規定する因子の解明
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15J12632
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
佐藤 敦 滋賀医科大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 社会経済要因 / 高血圧 / コホート研究 / 家庭血圧 / 診察室血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
主研究課題「社会的要因を中心とした高血圧有病・未治療・コントロール不良を規定する因子の解明」に関して、国民代表集団の大規模コホートNIPPON DATA2010ベースラインデータ(20歳以上の男女2891名)を解析し、下記の成果を得た。①独身かつ1人暮らしの者は、既婚者に比べ高血圧(140/90 mmHg以上)有病割合が有意に高値。②高血圧者において、高学歴者(短期大学以上)は低学歴者(中学校以下)に比べ、無治療割合が有意に高値。③上記結果について、性差、年齢による差を認めなかった。④高血圧コントロール不良に関連する社会的要因は認めなかった。以上を、第25回欧州高血圧学会年会(2016年6月、ミラノ、イタリア)にてポスター発表し、現在Journal of Hypertension誌への投稿へ向け準備中である。 主の研究課題に加え、昨年度は当研究室で実施している滋賀潜在性動脈硬化疫学研究(SESSA)のベースライン(2006-2008年調査)データを用いた解析を実施した。対象は滋賀県草津市の40~79歳男性919名とした。家庭血圧は起床後1時間以内、排尿後、朝食前、2分間の安静後、座位にて対象者自身が自動血圧計で測定し、解析には朝1回、7日分の平均値を使用した。診察室血圧は静謐な環境下で5分間会話をせず安静を保持させた後、座位にて医師が自動血圧計で2回測定し、その平均値を解析に使用した。評価項目として冠動脈石灰化(Agatston Score 10以上)を用いた。厳格に測定した診察室血圧と、家庭血圧の値に有意な差はみられず、冠動脈石灰化との関連においても、両血圧で有意な差を認めなかった。本結果について、第38回日本高血圧学会総会(松山、愛媛)にて口頭発表、および米国心臓協会/疫学セッション2016(フェニックス、米国)にてポスター発表を行った。現在論文化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
私は昨年度、第25回欧州高血圧学会にて「社会的要因と高血圧有病・無自覚・無治療・コントロール不良との関連:NIPPON DATA2010」についてポスター発表を行い、加えて当研究室で実施している地域ベースのコホート研究データを用いた解析結果を国内学会にて口頭発表1回、および国外学会にてポスター発表を1回実施し、研究活動は順調に進行したといえる。また、NIPPON DATA2010コホートの追跡作業においても、質問票の作成・電話による対象者からの聴取などに積極的に携わり、無事完遂することができた。さらに私は、平成22年国民生活基礎調査とNIPPON DATA2010ベースラインデータとの統合作業において、データハンドリング等の主要な役割を果たした。 1年目の研究計画が概ね完遂できたことに加え、もう1つ異なるコホート研究データ解析および学会発表を実施できたことから、進捗は期待以上であったと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、主課題の論文投稿を完遂させること、NIPPON DATA2010の6年目追跡作業を主として実施していく。 また、NIPPON DATA90コホートと平成2年国民生活基礎調査とを統合したデータセット(昨年度末作成済み)をデータクリーニング後に、基礎調査データに含まれる婚姻・世帯支出等の社会要因と20年追跡中の循環器疾患死亡および総死亡との関連について解析を実施する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Is Home Blood Pressure More Strongly Associated With Coronary Artery Calcification Than Clinic Blood Pressure Measured Under An Ideal Condition?2016
Author(s)
Atsushi Satoh, Hisatomi Arima, Atsushi Hozawa, Takashi Hisamatsu, Sayaka Kadowaki, Aya Kadota, Akira Fujiyoshi, Naoko Miyagawa, Maryam Zaid, Sayuki Torii, Takayoshi Ohkubo, Tomonori Okamura, Akira Sekikawa, Katsuyuki Miura, Hirotsugu Ueshima, SESSA Research Group
Organizer
米国心臓協会/疫学セッション2016
Place of Presentation
フェニックス、アメリカ合衆国
Year and Date
2016-03-01 – 2016-03-04
Int'l Joint Research
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[Presentation] 家庭血圧は理想的環境下で測定した診察室血圧より強く冠動脈石灰化と関連するか?2015
Author(s)
佐藤 敦, 有馬 久富, 寳澤 篤, 久松 隆史, 門田 文, 藤吉 朗, 宮川 尚子, Maryam Zaid, 鳥居 さゆ希, 大久保 孝義, 岡村 智教, 関川 暁, 三浦 克之, 上島 弘嗣, SESSAグループ
Organizer
第38回日本高血圧学会
Place of Presentation
松山、愛媛
Year and Date
2015-10-09 – 2015-10-11
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[Presentation] Associations of Socioeconomic Status with Prevalence, Awareness, Treatment, and Control of Hypertension in the Japanese General Population: NIPPON DATA20102015
Author(s)
Atsushi Satoh, Hisatomi Arima, Takayoshi Ohkubo, Nobuo Nishi, Nagako Okuda, Ryusuke Ae, Mariko Inoue, Shuji Kurita, Keiko Murakami, Aya Kadota, Akira Fujiyoshi, Kiyomi Sakata, Tomonori Okamura, Hirotsugu Ueshima, Akira Okayama, Katsuyuki Miura, NIPPON DATA2010 Research Group
Organizer
第25回欧州高血圧学会
Place of Presentation
ミラノ、イタリア
Year and Date
2015-06-12 – 2015-06-15
Int'l Joint Research