2015 Fiscal Year Annual Research Report
シャペロンとオートファジーによるペルオキシソームの品質管理システムの解明
Project/Area Number |
15J40032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田(後藤) 志野 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ペルオキシソーム / オートファジー / 品質管理 / LONプロテアーゼ / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
ペルオキシソームは常に酸化的ダーメジに晒されている。酸化されたペルオキシソームはオートファジーによって選択的に除去されるが、その具体的な制御機構は不明である。これまでに申請者は、「LONプロテアーゼ2(LON2)がオートファジーによるペルオキシソーム分解を抑制する」ことを明らかにした。これに基づき、本研究ではLON2タンパク質およびその欠損変異体解析を行うことで、ペルオキシソームの品質管理システムの理解を目指すものである。今年度は下記に示す知見を得た。
LON2タンパク質はシャペロンとペプチダーゼの二つのドメインから構成されており、ペルオキシソームに局在する。これまでの解析で、オートファジーの抑制にはシャペロンドメインが、ペルオキシソームタンパク質の分解にはペプチダーゼドメインが必要であることが明らかにした。LON2の作用機序を明らかにするために行ったIP/MS解析により、LON2相互作用候補因子を同定している。大部分の候補タンパク質はペルオキシソームマトリクスタンパク質であった。このことは、LON2がペルオキシソームタンパク質の分解に関与するというこれまでの結果と一致する。一方で、局在が不明とされる候補タンパク質の中に、動物細胞においてオートファジーの調節に関与すると報告のある因子のホモログが含まれていた。この因子(以下LON2 Interacting Protein 1: LIP1)の細胞内局在を確認したところ、GFP-LIP1はサイトゾルと微小な顆粒状構造に局在することが明らかとなった。生化学的解析から、LON2はペルオキシソームの内側に局在するペリフェラル膜タンパク質である。オートファジーがいかにして異常なペルオキシソームを認識するのかについては最大の課題であるが、ペルオキシソーム膜のLON2とサイトゾル側のLIP1との相互作用が選別機構の鍵となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りLON2相互作用候補因子のクローニングおよび解析を行った。また、次年度以降の解析に用いる植物材料の準備を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して相互作用因子の解析を進めると共に、本年度に準備した変異体および形質転換体の解析を開始する。これに加えて、LON2欠損時にオートファジーのターゲットとなる因子を明らかにするために、lon2 atg2変異体よりペルオキシソームを単離し、プロテオーム解析を行う。
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