2016 Fiscal Year Annual Research Report
ストリゴラクトン生合成の調節メカニズムに関する研究
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15J40043
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
米山 香織 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | ストリゴラクトン |
Outline of Annual Research Achievements |
ストリゴラクトン(SL)は、植物自身の生長制御と同時に、植物の生長を促す有用微生物(AM菌、根粒菌)、植物の生長を阻害する根寄生植物との相互作用にも関与していることから、農業生産性の向上に資する極めて重要な生理活性物質である。リンや窒素がSL生産・分泌に影響を与えることが明らかになっているものの、リンや窒素がSL生産・分泌をどのように制御しているのか詳細は不明である。本研究では、SL生合成の制御における、植物ホルモン、スクロース、およびリン(P)の相互作用の解明を行うことにより、未だに不明な点が多いSL生合成の調節メカニズムの解明を試みている。 SL生合成欠損変異体は、植物地上部において過剰な枝分れの表現形を示す。一方で、地上部少分枝品種などは知られていない。このような中、ダイズにおいて少分岐品種が選抜され、共同研究先である北大のグループがその原因遺伝子の探索を試みた。しかしその形質は環境に左右されやすく、ファインマッピングまでは至らなかったが、少分岐に関わる責任遺伝子の候補が見つかった。今後は、この少分枝品種において、SLおよび他の植物ホルモンの内生量などを精査することにより、SL生産・分泌制御の解明を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般的なダイズ品種を用いて、既知SLの同定を行った。その結果、典型的な四環性SLであるorobancholおよびorobanchyl acetate、非典型的SLであるcarlactonoic acidがダイズの根および根浸出液から検出された。 これまで、イネでは、典型的な植物ホルモンであるサイトカイニンはSL生産・分泌に対して負に制御することを明らかにしていた。このサイトカイニンによる負の制御は、イネだけでなくトマトでも起こることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、過剰な枝分れを生じると予想される糖シグナリング関連遺伝子のノックアウト株のSLおよび他の植物ホルモンの内生量などを精査する予定であったが、ノックアウト株作成がうまくいかなかった。そのため、少枝分品種として選抜されたダイズ品種を用いた実験に変更し、SL生産・分泌制御の解明をめざす。
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Research Products
(2 results)