2015 Fiscal Year Annual Research Report
「焼畑の潜在力」を引き出す条件:アフリカ熱帯雨林の農業と森林保全の両立に向けて
Project/Area Number |
15J40116
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
四方 篝 京都大学, 大学院農学研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | アフリカ / 熱帯雨林 / 焼畑 / アグロフォレストリー / カカオ / バナナ / 生態景観の多様性 / 潜在力 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度前期は、これまでの研究成果をもとに「アフリカ熱帯雨林のさとやま」と題した論考を執筆し、『こころの未来』誌上において発表した。2015年7月20~31日の12日間、フランス・モンペリエ市の研究機関(CIRAD, CEFE等)を訪問し、中西部アフリカにおける農業に関する文献・資料収集をおこなった。おなじく、フランス・エクサンプロバンス市の公文書館(Archive National d’Outre-mer)を訪問し、中西部アフリカにおける植民地期の行政資料の閲覧と写真撮影をおこなった。 また、これまでの研究成果をまとめた著書『焼畑の潜在力-アフリカ熱帯雨林の農業生態誌』が、2015年度日本熱帯生態学会吉良賞を受賞した。 今年度後期は、これまでの研究成果をもとに「多様性をうみだす潜在力-カメルーン東南部、熱帯雨林における焼畑を基盤とした農業実践」と題した論文を執筆し、重田眞義・伊谷樹一編『アフリカ潜在力 4 争わないための生業実践:生態資源と人びとの関わり』(京都大学学術出版会)において発表した。また、2016年2月5日~21日の17日間、カメルーン共和国における現地調査を実施した。首都ヤウンデのJICAオフィス、ならびに調査対象地である東部州の環境自然保護省、世界自然保護基金(WWF)のオフィスを訪問し、カメルーン東部州の森林地域にかんする資料・情報収集をおこなうとともに、東部州の調査村において焼畑システムやカカオ栽培の実態について、農法や土地利用に関する参与観察と聞き取り調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度後期から所属先の変更・転居があり、子供が保育園の待機児童となったことや、アフリカにおけるエボラ出血熱の流行ならびに政情不安等、研究を遂行するうえでのさまざまな困難が予想されたが、当初の研究計画どおりに、フランスでの資料収集とカメルーンでの現地調査を実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年にひきつづき、カメルーンでの現地調査を計画しているほか、フランスで開催される国際会議(International Symposium on Banana / ISHS-ProMusa symposium:Agroecological approaches to promote innovative banana production systems)への参加・発表や、カメルーン以外のカカオ、バナナ栽培地域への渡航・比較調査を計画している。 外務省が発表する海外渡航情報や各国の情勢には十分に注意しながら、調査を遂行する。
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