2016 Fiscal Year Annual Research Report
「焼畑の潜在力」を引き出す条件:アフリカ熱帯雨林の農業と森林保全の両立に向けて
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15J40116
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
四方 篝 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(RPD) (80750421)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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Keywords | 焼畑 / アグロフォレストリー / アフリカ / バナナ / カカオ / 熱帯雨林 / 潜在力 / カメルーン |
Outline of Annual Research Achievements |
前期は、昨年度の調査結果の分析を進めた。また、「バナナはチョコレートよりも甘いか?」と題した論考を執筆し、『日本熱帯生態学会ニューズレター』誌上(第104号 p.11-18)において発表した。2000年より継続しているカメルーン東南部における研究成果の内容を紹介するとともに、昨年実施した現地調査の知見も加え、本研究課題の今後の方向性について展望した。 2016年8月5日~7日にかけて、ウガンダの首都カンパラのマケレレ大学において開催された第15回国際民族生物学会に参加し、ひきつづき8月8日~21日まで、ウガンダ南部・南西部において現地調査を実施した。ウガンダ南部では農耕民Gandaの集落を、南西部では農牧民Ankoleの集落を訪問・滞在し、バナナ栽培の実態ならびにアグロフォレストリーシステムについて参与観察と聞き取り調査を実施した。また、マケレレ大学、National Agricultural Research Organization (NARO)、Bioversity Internationalのオフィスを訪問し、資料・情報収集をおこなった。
後期は、ウガンダにおける調査結果の分析や文献研究とともに、論文の執筆をすすめた。 2017年3月26日に、東京外大AA研共同利用・共同研究課題研究会・2016年度第3回「アフリカ農業・農村社会史の再構築:在来農業革命の視点から」において研究発表をおこない、東南アジアの焼畑との比較や土壌肥料学的な特徴について、多分野の研究者とディスカッションした。 以上の研究活動に加え、アグロフォレストリー(AF)の地域間比較を意図した研究会を実施し、中部アフリカのカカオAF、東南アジアのチャAF、ラテンアメリカのコーヒーAF、ならびにアジア・アフリカで広くみられるバナナAFの特徴や共通点・相違点についてディスカッションをおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたカメルーンでの調査を延期したが、ニューズレターの執筆や研究会での発表・議論などをとおして、今後の研究の方向性について展望することができたため。また、予定どおりウガンダでの現地調査を実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまでに収集したデータをまとめ、英語論文の執筆をおこなう。可能であれば、カメルーンもしくは、カメルーン以外のカカオ、バナナ栽培地域での比較調査を実施する。外務省が発表する海外渡航情報や各国の情勢には十分に注意しながら、調査を遂行する。 また、ウガンダでの調査結果を分析して日本熱帯生態学会で発表するとともに、英語で短報を執筆し、Tropical Agriculture and Development誌に投稿する。 焼畑ならびにアグロフォレストリーの地域間比較研究を継続し、アフリカ熱帯雨林における「焼畑の潜在力」を引き出す条件についての考察を深める。
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