2017 Fiscal Year Annual Research Report
化石・現生微生物の局所分析と変質実験から探る先カンブリア時代微化石分類の新指標
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15J40157
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
伊規須 素子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2020-03-31
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Keywords | 顕微赤外分光法 / 先カンブリア時代 / 微化石 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度当初は、主に微化石試料の顕微赤外分光分析を推進し,元素分析用の試料準備法を検討する予定であった。しかし,産前産後の休暇及び育児休業を取得したことに伴い、年度当初に設定した目標を変更して,前年度までの研究成果の発表に集中し,また次年度以降のSPring-8等外部施設での実験の準備を行った。 結果として,筆頭著者として改訂中であった3報を再投稿し,2報が受理された。残り1報は査読結果をうけ改訂中である。また新たに論文1報を投稿した。共著論文1報が受理された。次に,筆頭著者として投稿・再投稿した論文4報のうち,新たに投稿した1報の内容について記す。 カナダ,Fifteenmile Groupから産出された約8億年前の黒色チャートの顕微赤外分光マッピング分析を行った結果をまとめ,Island Arc誌に投稿した。形態的にシアノバクテリアと解釈される球状有機質微化石(Glenobotrydion)と糸状有機質微化石(Paleolyngbya?)から脂肪族炭化水素CH結合を検出した。それらのCH3/CH2比が現生のシアノバクテリアと調和的であることから,両微化石は形態的にも化学組成的にもシアノバクテリアであることを支持する。また形態的には細胞構造か否か判別の難しい楕円様構造の測定を行い,そのCH3/CH2比が一個体中で比較的一様であることを示した。周囲の不定形炭質物は幅広いCH3/CH2比を持つことから,楕円様構造を構成する炭質物は様々な生物の混合物ではなく,類似した生物由来と考えられる。しかし,その起源生物については,より詳細な化学組成形態構造の分析が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出産・育児による休業のため,年度当初に設定した目標を変更して,前年度までの研究成果の発表に集中させた。結果として,筆頭著者として改訂中であった3報を再投稿し,2報が受理された。残り1報は査読結果を受け改訂中である。また新たに論文1報を投稿した。共著論文1報が受理された。以上により概ね達成できたと考え,順調に進展したと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き微化石の記載・化学分析を中心に研究を推進する。今年度,実行できなかったSPring-8での微化石の高空間分解能顕微赤外分光分析に向けて,試料作製方法の改良および測定条件を再検討し,微化石から検出された脂肪族CH結合の起源の考察を試みる。
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