2015 Fiscal Year Annual Research Report
イネ澱粉生合成関連酵素の酵素間相互作用に着目した澱粉構造制御機構の解明
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15J40176
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
クロフツ 尚子 秋田県立大学, 生物資源科学, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2019-03-31
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Keywords | イネ / 澱粉 / タンパク質相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではイネ澱粉生合成関連酵素の相互作用および複合体形成を詳細に分析し、澱粉構造の制御機構を明らかにすることを目的として研究を行った。 1)各アイソザイムがどのような大きさの分子量の複合体を形成するか明確にした。Superdex200担体を用いて、イネ種子内で形成されたタンパク質複合体を分子量ごとに分画したところ、イネの登熟胚乳で高い発現量を示した全ての澱粉生合成関連アイソザイム(SSI, SSIIa, SSIIIa, SSIVb, BEI, BEIIa, BEIIb, PUL, ISA1, Pho1)が高分子量にも溶出することが明らかになった。 2)タンパク質複合体を形成したアイソザイムが活性を維持するかを明らかにするため、ゲル濾過法で分画した画分を非変性ゲルを用いたNative-PAGE活性染色法で分析したところ、この手法で検出できる全てのアイソザイムが活性を維持した状態で高分子量に存在することが明らかになった。 3)各アイソザイムが他のどのアイソザイムと相互作用するかを明らかにするために、各アイソザイム特異的抗体をイネ登熟種子抽出液と反応させ免疫沈降法を行った。今年度は、既存のアイソザイム特異的抗体を用いて、溶出したサンプルのウエスタンブロットを行い、複合体に含まれる他の構成アイソザイムを明らかにした。他の穀類で示唆されていたSSI-SSIIa-BEIIb, BEI-BEIIbがイネでも形成していることに加え、新たにBEIおよびBEIIbとPULが複合体を形成することが明確になった。 4)タンパク質複合体がグルカン合成能力を持つかどうかを明らかにするために、イネ登熟種子抽出液をBlue-Native-PAGE法を用いて、複合体を分子量ごとに分離し、その後、ゲルを基質と反応させることで、内在性のタンパク質複合体がグルカンを形成することを明らかにした。その結果、モノマーに加えて約200, 400, 450kDaのタンパク質複合体が、ヨウ素で染色できる構造を持ったグルカンを形成できることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1)澱粉生合成に関わる複数のアイソザイムが互いに相互作用していることを明らかにするために、ゲルろ過法・免疫沈降法・Blue-Native-PAGE活性染色法といった手法を立ち上げることができたから。 2)野生型のイネ登熟種子において、澱粉生合成に関わる複数のアイソザイムが互いに相互作用していることを明らかにし、論文や総説として発表することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度明らかにした澱粉生合成関連酵素が形成する酵素複合体に着目し、 1)未解明の構成成分の存在の有無を明らかにするために、免疫沈降法で単離した酵素複合体を質量分析法で分析し、構成成分を明らかにする。 2)澱粉生合成関連酵素が形成する複合体と澱粉構造の関連を明らかにするために、複合体を構成するアイソザイムを欠損したイネ変異体の酵素複合体を分析する。特に、特定の澱粉合成酵素(SS)アイソザイムが欠損した際に、他のSSアイソザイムがどのように、その機能を相補するのか、新規のSSアイソザイムの組み合わせを持つイネの澱粉構造を明らかにし、SSアイソザイムの相補作用と酵素間相互作用の関連性を追究する。 3)澱粉生合成関連酵素の酵素間相互作用の制御機構を明らかにするために、各アイソザイムが翻訳後修飾されているかどうかを明らかにする。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Deficiency of Starch Synthase IIIa and IVb Alters Starch Granule Morphology from Polyhedral to Spherical in Rice Endosperm.2016
Author(s)
Yoshiko Toyosawa, Yasushi Kawagoe, Ryo Matsushima, Naoko Crofts, Masahiro Ogawa, Masako Fukuda, Toshihiro Kumamaru, Yozo Okazaki, Miyako Kusano, Kazuki Saito, Kiminori Toyooka, Mayuko Sato, Naoko F. Oitome, Rumiko Itoh, Yongfeng Ai, Jay-Lin Jane, Yasunori Nakamura, Naoko Fujita
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Analysis of the rice ADPglucose transporter (OsBT1) indicates the presence of regulatory processes in the amyloplast stroma that control ADPglucose flux into starch.2016
Author(s)
Bilal Cakir, Shota Shiraishi, Aytug Tuncel, Hiroaki Matsusaka, Ryosuke Satoh, Salvinder Singh, Naoko Crofts, Yuko Hosaka, Naoko Fujita, Seon-Kap Hwang, Hikaru Satoh ,Thomas W. Okita
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Journal Title
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Rice starch biosynthetic enzymes from enzymatically active protein-protein complexes2015
Author(s)
Naoko Crofts, Natsuko Abe, Naoko F Oitome, Ryo Matsushima, Mari Hayashi, Ian J Tetlow, Michael J Emes, Yasunori Nakamura, Naoko Fujita.
Organizer
Starch Round Table
Place of Presentation
DoubleTree, Minneapolise, USA
Year and Date
2015-10-15 – 2015-10-17
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