2018 Fiscal Year Annual Research Report
背景音提示下での学習成績を規定する要因の検討:音の種類と学習者の特性に着目して
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15J40206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
髙橋 麻衣子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2020-03-31
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Keywords | 無関連音声効果 / ワーキングメモリ / 読解 / 系列再生 / 学習環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
音楽を聴きながら勉強する等,遂行すべき認知課題とは無関連な背景音が提示されている場合,課題の遂行成績はどのように影響されるのだろうか。本研究は,背景音の種類,遂行する課題の種類,そして学習者の認知特性に焦点を当てて,背景音提示が学習の遂行に及ぼすメカニズムを明らかにすることを目的としている。 昨年度までに,文章の読解課題やアルファベットの系列再生課題等を用いて,器楽音よりも言語音の提示が課題成績に干渉することを明らかにしてきた。学習者の特性としては,ワーキングメモリ容量や課題に無関連な情報を無視するスキルの高低に着目し,背景音の提示による干渉効果との関連を検討したが,一貫した結果は得られていない。 そこで今年度は参加者人数を増やして,昨年度と同じく説明文の読解課題(実験1)と系列再生課題(実験2)における背景音の提示と学習者のワーキングメモリ容量の影響を検討した。実験1では53名,実験2では50名の参加者のワーキングメモリ容量を測定し,歌詞と器楽音の有無を操作した4種類の背景音を提示しながら課題を遂行してもらった。その結果,歌詞の提示はどちらの課題成績にも干渉するが,器楽音の提示は干渉効果がみられないこと,またワーキングメモリ容量の大きさと背景音提示の効果には関連がみられないことが示された。 今年度は50名を対象に図形の記憶課題における背景音提示の効果を検討する新しい実験3も行なった。その結果,背景音を提示すると無音状態よりも視覚提示された図形の保持が長時間可能となるという正の効果が観察された。また,53名を対象に「ながら勉強がはかどる背景音」について質問紙調査を行ったところ,川のせせらぎ等の自然音と歌詞なしの器楽音が挙げられた。これらの成果によって,背景音の提示が課題成績を向上させるメカニズムを実験的に検討するという新しい研究の展開が可能となった。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(5 results)