2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00020
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
渡辺 曜大 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (70360675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 多可雄 会津大学, コンピュータ理工学部, 上級准教授 (00264565)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 暗号 / 秘密分散 |
Outline of Annual Research Achievements |
秘密分散法とは,資格を有する参加者集合のみが秘密情報を復元できるように秘密情報を分散暗号化するための暗号技術であり,重要な情報に対するアクセス制御を実現するための核となる技術である.聴覚復号型秘密分散法は,資格を有する参加者集合のもつ分散音声を同時再生することによって,人間の耳を用いて秘密音声が復号できるような秘密分散法の一種である.視覚復号型秘密分散法とは異なり,聴覚復号型秘密分散法には,何を秘密情報とするかに応じて以下の2つのタイプが存在する:(i) 2進文字列を暗号化する聴覚復号型秘密分散法,(ii) 音声情報を暗号化する聴覚復号型秘密分散法.ここで,後者においては,秘密音声(の振幅)は有界であるべきであるが復号演算(実数もしくは整数上の足し算)が有界な実数もしくは整数の集合上で閉じていないため,秘密情報と分散情報とは完全に独立にはなりえない.したがって,その安全性を正しく評価することが必要となる.平成28年度は,任意の自然数 n に対して,音声情報を暗号化する (n,n)-しきい値型聴覚復号型秘密分散法の構成法を与え,その安全性を評価した.この結果と,(n,n)-しきい値型視覚復号型秘密分散法に関してすでに知られている結果とを比較し,それぞれの特徴を明らかにした.さらにこれを一般のしきい値型に拡張するために,復号関数を単なる分散音声の和から重み付きの和に一般化した.この一般化に基づいて,(k,n)-しきい値型聴覚復号型秘密分散法の構成法を与え,その安全性を評価した.なお,上述のように復号関数を重み付きの和としたため,復号された秘密音声の品質についても考慮する必要がある.復号された秘密音声における信号雑音比の劣化と暗号化関数のパラメータとの関係を調べ,提案手法における信号雑音比と安全性の間に成り立つ関係を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究を実施している.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究計画に沿って研究を進める.平成29年度は,まず前年度までに得た結果に関して以下の拡張を行う.(i) 本研究において提案した複数の秘密情報を扱う任意のアクセス構造を実現可能な視覚復号型秘密分散法について,アクセス構造を制限して既存の手法とその効率性(例えば画素拡大度)を比較する,(ii) 本研究において提案した音声情報を暗号化する(k,n)-しきい値型聴覚復号型秘密分散法について,改良の余地がないか検討する.次に,秘密分散法の最適性に関して以下の検討を行う.一般に,秘密分散法の最適性を示すことは困難であり,実際,最適であることが示されている秘密分散法のクラスは極めて限られている.そこでまず,より複雑な秘密分散法の最適性をより単純な秘密分散法の最適性に帰着できないか検討する.例えば,複数の秘密情報を暗号化可能な秘密分散法に関して,その最適性が各秘密情報を暗号化する秘密分散法の最適性に帰着できないか調べる.
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Causes of Carryover |
翌年度(平成29年度)に研究補助者の環境改善(最新のPCおよびPC周辺機器購入)を計画しており,その相当額を繰り越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通りPCおよびPC周辺機器を購入する.
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Research Products
(1 results)