2015 Fiscal Year Research-status Report
離散DC関数最小化問題に対する大域的最適化手法の構築
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15K00030
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩浦 昭義 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (10296882)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 離散最適化 / DC関数 / 離散凸関数 / 離散凸解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,離散DC関数最小化問題に対して,理論と実用の両面からみて高性能なアルゴリズムを提案することである.本年度は「(i) 解きやすい問題クラスの検出」という課題に主に取り組み,「(ii) 精度保証付き近似アルゴリズムの構築」という課題についても検討を開始した.
課題(i)の解決に向けて,まず,最小化しやすい離散DC関数と最小化が困難な離散DC関数の境界を明確にすることを試みた.離散凸解析の理論においては,M凸関数という離散関数のクラスに関する最適化問題が解きやすいと認識されている.また,2つのM凸関数の和についても,最小化問題が多項式時間で解けることが知られている.一方,3つのM凸関数の和については,NP困難であることが知られている.この解きやすい問題と解きにくい問題の境界をより明確にするために,まずは解析しやすい特殊なM凸関数である,マトロイド階数関数の和で表現される離散関数の構造について調査を行った.M凸関数の場合と同様に,2つのマトロイド階数関数の和は最小化しやすいが,3つの和の場合は最小化しにくいことが知られている.一方,M凸関数の中にはマトロイド階数関数の和として表現できるものが少なくない.一般のM凸関数がマトロイド階数関数の和として表現可能かどうかを明らかにすることにより,M凸関数の解きやすさの構造の解明につなげようと試みた.しかしながら,この命題の証明の完成には至っていない.
このように,本年度は目指していた課題解決につながるようなポジティブな結果は残念ながら得られなかったが,その過程では今後の研究につながるような新たな知見が得られた.その一部については,過去に得られた研究成果と合わせて学術論文としてまとめられ,国際ワークショップや学会などで発表された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は離散DC関数の構造の解析を目指して,M凸関数の和により表現される関数の構造の解析を行っていたが,その構造が当初の想定以上に複雑であり,解析に時間を要している.そのため,当初の計画通りに研究が進まなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究における現状を打開すべく,同じアプローチにこだわらず,全く別のアプローチも試みてみる.また,研究協力者を訪問し,本研究課題に関する議論を行う.さらに,国内外で開催される様々な会議・学会に参加し,本研究の遂行に参考になると思われる情報収集に努める.
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Causes of Carryover |
本年度は離散DC関数の構造の解析を行っていたが,その構造が当初の想定以上に複雑であり,当初の計画通りに研究が進まなかったため,使用額が思っていたより少なくなってしまった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究における現状を打開すべく,研究協力者を訪問し,本研究課題に関する議論を行う.また,国内外で開催される様々な会議・学会に参加し,本研究の遂行に参考になると思われる情報収集に努める.
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