2017 Fiscal Year Research-status Report
離散DC関数最小化問題に対する大域的最適化手法の構築
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15K00030
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩浦 昭義 東京工業大学, 工学院, 准教授 (10296882)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 離散凸関数 / 離散凸解析 / 離散最適化 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,L凸関数とよばれる離散凸関数の最小化問題に対するある種のアルゴリズムについて解析を行った.これは,オークション理論からの動機に基づくものである.L凸関数を最小化する際,解ベクトルの各成分を繰り返し増加させ,その後に繰り返し減少させるという,二段階アルゴリズムが適用できることが知られている.これは,複数財のオークションにおけるEnglish-Dutchオークションに対応するアルゴリズムである.本研究では,このアルゴリズムの反復回数に対して,厳密なバウンドを得た.これにより,English-Dutchオークションにおける価格変更回数が何回必要か,算定できたことになる. つぎに,買い戻し問題というオンライン問題において,目的関数をこれまでの線形関数から非線形関数へと一般化した問題について議論した.目的関数の非線形性により,既存のアルゴリズムの単純な拡張は不可能である.この複雑な問題に対し,離散凸解析における既存の研究成果を利用しつつ,高精度の解を求めるオンラインアルゴリズムを提案した.アルゴリズム自体はシンプルであるが,解の精度評価が難しく,目的関数の性質を巧みに利用して解精度を保証した.この研究成果は離散凸解析理論のオンラインアルゴリズムへの初めての適用であり,インパクトは大きい. もう一つの研究成果として,処理時間が可変なスケジューリング問題において,処理時間に関して2次の評価関数の和を最小化するという問題について研究を行った.これは,ある種のタスクを処理する際に生じる誤差などを最小化する問題に対応する.この問題に対し,解集合が離散凸集合であるという事実を活用すると共に,様々なアルゴリズム技法を適用することより,高速なアルゴリズムを構築することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画自体は順調に進み,数多くの研究成果が得られ,その成果の一部は学術論文として発表されている.また,計画を遂行している途中で,離散凸関数の最小化問題に対する最急降下アルゴリズムに関して新たな発見があった.この発見から発想を得て,L1ノルム制約の下での離散凸関数という問題について新たに研究を始めることとなったが,それをとりまとめるために補助事業期間を延長することとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から始めた,L1ノルム制約の下での離散凸関数最小化問題に対する研究についての取りまとめ及び論文執筆を行う.とくに,理論的な研究成果をまとめると共に,問題を解くアルゴリズムを具体的に記述し,その時間計算量を詳しく解析する.さらに,構造の複雑な離散関数の最適化問題に対する効率的なアルゴリズムの構築,ということを目指して平成27年度より行ってきた研究の取りまとめを行う.
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Causes of Carryover |
当初の計画自体は順調に進んでいたが,計画を遂行している途中で,離散凸関数の最小化問題に対する最急降下アルゴリズムに関して新たな発見があった.この発見から発想を得て,L1ノルム制約の下での離散凸関数という問題について新たに研究を始めることとなったが,それをとりまとめるためには時間が足りず,補助事業期間を延長する必要が出てきた.
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