2016 Fiscal Year Research-status Report
化学構造情報の数値プロファイリングと偏最小2乗法を用いた化学物質の環境毒性予測
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15K00045
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
高橋 由雅 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00144212)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生態毒性予測 / 偏最小2乗法 / PLS / TFS / QSAR / 魚毒性 / 環境毒性 / 構造活性相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度研究では,前年度(平成27年度)に提案したTFS-PLS法を用い、藻類に対する短期毒性予測モデルの構築を試みた。データセットには、72時間半数成長阻害濃度(72h-EC50)の試験データ(環境省より公開)を用いた。試験化合物に重複がある場合は新しい年度の試験結果を採用した。塩や混合物を除外し、さらに毒性値が試験上限値表記(不等号付の値)されているものを除外した全341化合物の毒性試験データを用いた。TFS-PLS法による一括モデリングでの性能を調べたところ、潜在変数20程度で精度の向上が飽和してくるのが認められた。また、TFS-PLSによる回帰性能は,logP単回帰モデルを大きく上回る精度が得られた。さらに、構造類似性を基礎としたActive QSARモデリングでは、潜在変数の数が1の場合にも良好な回帰モデルが得られ、近似精度も上述の一括モデリングによるモデルと比べ大きく向上すること明らかにした。 同様に、TFS-PLS法をActive QSARモデリングと組み合わせ、魚類急性毒性(96h-LC50)予測のついても検討を行った。データセットには同じく環境省より公開されている367化合物の魚毒性試験データ (96h-LC50)を用いた。本研究では、Active QSAR TFS-PLSによる魚類急性毒性予測モデルのパラメータチューニングを実施し、予測安定性の高い最適なモデルの構築を試み、その精度について検討を行った。その結果、アクティブサンプリングにおける最近傍サンプルの類似度に一定の閾値を導入することで、生成モデルの予測安定性を向上させることが可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況については上記の「研究実績の概要」で述べたとおりであり、これらの成果の一部については、2016年度人工知能学会全国大会(2016年6月、北九州市)および第44回構造活性相関シンポジウム(2016年11月、京都)にて発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、提案手法(TFS-PLS法)におけるモデル生成のための近傍サンプルの探索や類似度閾値、モデリングに利用する潜在変数の数などについて最適な条件を検討するとともに、適用するエンドポイントの拡大を図る。 また、H29年度は本研究課題における研究最終年度である。このことから、これまでの成果をもとに、ユーザインタフェースも含め、TFS-PLS法を基礎としたパラメータ・フリーの使いやすい生態毒性予測システムの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
必要な消耗品の購入予定額が予想を下回ったこと、成果発表のための国際会議の参加を見送ったことによる旅費の減額などによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学生による業務補助など人件費が予定より上回ることが予想されることから、主としてこれらの費用に充当する予定である。
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Research Products
(3 results)