2016 Fiscal Year Research-status Report
2×2分割表における因果効果の正確検定に関する研究
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15K00057
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
千葉 康敬 近畿大学, 医学部附属病院, 准教授 (80362474)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 因果推論 / 統計的仮説検定 / ランダム化試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、弱い因果帰無仮説に対する統計的仮説検定手法とその周辺(信頼区間の構成法など)を議論することである。 今年度は、昨年度提案した弱い因果帰無仮説に対する正確検定手法とそれに対応する正確な信頼区間(Chiba, Journal of Biometrics and Biostatistics 2015; 6: 244)に関して、さらに議論を深めるとともに拡張を試みた。 まず、競合する正確な信頼区間の構成法(Rigdon and Hudgens, Statistics in Medicine 2015; 34: 924-935)が過度に保守的になることがあることを実データに基づいて示した(Chiba, Statistics in Medicine 2016; 35: 1739-1741)。このことは後にモンテカルロシミュレーションによって確かめられた(Rigdon, Loh, and Hudgens, Statistics in Medicine 2017; 36: 876-880)。また、Barnardの正確検定に対応する信頼区間であるSantner-Snell信頼区間が因果効果の信頼区間とはなり得ないことも数値例に基づいて示した(Chiba, Journal of Biometrics and Biostatistics 2016; 7: 288)。 次に、サンプルサイズ設計の方法を提案した(Chiba, Open Journal of Statistics 2016; 6: 766-776)。当初の予想通り、原理自体は難しくないが、現実的に適用不可能なほど計算に時間がかかるという難点がある。近似計算法の開発が今後の課題となる。 最後に、層別解析と2×J分割表への拡張を試みた。これらについては論文投稿済みであり、次年度に報告できる見込みである。サンプルサイズ設計の方法と同様、計算に時間がかかるという難点がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に当初の計画以上の進展があったために、今年度は、最終年度に余裕があれば検討する予定であった付加価値を与える研究をすることができた。3年目以降の計画を前倒しにしたわけではないため、付加価値を付けた状態で当初の計画通りの進捗状況と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿中の論文を採択させることを最優先で行う。 残された大きな問題は計算時間である。この問題をクリアしない限りは、実際のランダム化試験での適用は困難である。来年度は、この難問に、近似計算法の導出、効率の良いアルゴリズム作成の2つのアプローチから取り組む。その後、再来年度(最終年度)に、できたところまでを、研究を総括する意味でまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は予算額に近い額を使用した。次年度使用額が生じたのは、初年度購入予定だった物品を3年目以降に購入するように変更したためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最も効率的にバランスよくパソコンの購入とSAS(統計解析ソフト)の年間ライセンス契約ができるように、タイミングをよく考えてこれらの費用に充てる。
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