2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K00061
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
柳本 武美 統計数理研究所, その他部局等, 名誉教授 (40000195)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | e-予測子 / DIC / ベイズ因子 / Fisher 厳密検定 / 信用区間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の構想に従って、e-混合ベイズ尤度についての性質と情報の統合に必要な信用領域の具体化から研究に取りかかった。定義と性能が大きく異なるベイズ因子と DICをベイズ尤度の二つの形と見ることにより、共通性を見いだせる あるからである。両者の違いが混合の種類に加えて混合分布の違いもあるので、2x2 分割表に纏められる四種類のベイズ尤度として纏めた。広い視点からの考察が可能となり、二つのベイズモデル評価規準を比較することができた。ベイズ因子の限界を明確にすることができた。問題はこの考察から理解される望ましい評価規準は、実装が容易でないことである。一方で、視点が示すことといてベイズモデルの評価規準の柔軟性がある。その結果、統計手法に係わる一つの基本問題である「リンドレーのパラドックス」に、従来の論争の枠組みより高い視点から解釈を与えることができた。 同じ構想の下での研究として、ベイズ法の枠組みからの広く用いられる尤度法・頻度法における手法のベイズ的解釈とそれに基づいた解釈がある。研究当初では脇役の位置づけであったが、新しい展開を見せ始めた。Fisher の厳密検定が信用水準検定として定式化できること (Altham 1969) が知られていた。この解釈が既存の有名な検定法を改善させる視点になることを研究していた。暗黙に仮定された事前密度は、弱い情報とは言いながら公平でない上に現実的でない問題点がある。その結果、知らずに仮定した事前密度に解析結果が引きずられる。これまでは検定法の改善を目指していたが、信頼区間の解釈と改善に重心を移したところ予期しない新しい展開を示している。検定の性能が弱い情報であっても事前密度の選択により導出される検定の性能が鋭敏であることを確認していが、同等あるいはそれ以上に信頼区間では鋭敏であるらしいことが確認されつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幸いに研究構想の設定を周到に行った結果として、研究の進捗は予定通り進んでいる。
ベイズモデルの評価規準に関しては、研究内容は予想通りの進展を見せた。また、その一つの具体化としての研究の順調に進んだ。問題は研究テーマが推測の基本に係わる点がある。大きな設定の下での結果は他の研究者の批判が厳しくなる。成果として纏めるためには、その批判に耐えるに充分な周到な詰めの仕事が必要になる。
信頼区間の限界を示して信用区間の有用性を示す研究は、研究の実施の中で生まれてきた。特に、以前に投稿した論文に対する査読者の指摘に対応するために必要となった作業がきっかけとなった。研究テーマとしては細かいと感じていたが、その分最近になるまで関連研究が少ないことが幸いしている。弱い情報量しか含まない事前密度の仮定が、解析結果に鋭敏に影響するのは信頼・信用区間の場合である。
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Strategy for Future Research Activity |
ベイズ尤度に基づくモデルの評価は、困難であっても細かい点にも目を配って成果を纏める必要がある。また関連した研究としては、予測密度の事後密度による m-混合の実装がある。研究の流れからすると本筋であるが、その実装に困難が伴う。文献でも不満足な結果しか与えられていない。折に触れ挑戦する価値がある。
信用区間における事前密度の仮定については現在順調に進めることができているのである程度までの進展がこのまま期待できる。標本密度が2項分布に従う場合は、実用的には多用され、大学の授業でも教えられることが多い。それにも拘わらず解決すべき問題が多いことが分かってきた。詳細に関しては議論が細かくなる。しかし、この傾向は統計手法の研究の全体に見られる傾向でもある。
連携研究者からは多チャンネルを通じて議論を進めている。この面からの刺激が期待できる。また、生物統計分野の若い研究者が2項分布を基礎にした複雑なモデルについての精力的な研究が進められている。本研究との関連が見えてくることを企図している。
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Causes of Carryover |
本研究は基礎的な個人研究である。通常の事業とは大きく異なり、基金化の恩恵を受けている。本年度は物品の購入を極力控えると共に、関連研究会での旅費も可能な限り先方負担をお願いするなどにより研究費の効率利用に留意した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降も研究費の効率的な有効使用を図ることに努める。
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Research Products
(7 results)