2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K00062
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西山 陽一 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (90270412)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超高次元モデル / スパース性 / マルチンゲール / 拡散過程 / 一致性 / Dantzig selector |
Outline of Annual Research Achievements |
確率過程に対する超高次元の統計モデルにおいて、種々の推測決定理論の研究を行った。 特に今年度は、拡散過程の拡散係数に対する指数線形モデルと呼ばれるものを新たに導入し、ドリフト係数は局外母数として扱ったうえで、線形性を表現する未知母数の個数が無限大に発散するような状況(超高次元モデル)を考察した。ただし、未知母数のうち、ゼロでないものは有限個のみであるが、それがどの項であるかは未知であるとする、という想定での研究を行った。(すなわち、スパース性と呼ばれる性質を仮定した。)この状況設定のもとで、最尤推定量のある意味で一般化にあたる Dantzig selector を導入し、その l_q ノルムのもとでの一致性を証明した。 この研究の意義は次のとおりである。まず、導入した指数線形モデル自体が、拡散係数の新しいモデルである。それは、例えば一つの銘柄の株価の変動に非常に多くの別の銘柄の株価が影響を与えるような状況を想定しており、このモデル自身、興味深いものである。次に、Dantzig selector の研究は、2007年に遡ることができるが、これまでは主として線形回帰モデル等において精力的に研究されていたものであった。本研究は、それを確率過程の統計モデルに適用した比較的初期の成果であると位置づけることができる。証明方法自体にも、技術的に新規性を要する点が多数ある。例えば、ジャンプの大小の分類による切り取りを行ったうえで Bernstein の不等式を適用する際には、いくぶんトリッキーなアイデアを要した。 なお、以上の研究は早稲田大学基幹理工学研究科の大学院生の藤森洸と共同で行い、論文にまとめたものが J. Japan Statist. Soc. 誌において掲載されることが決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマに直接関係する研究論文が、査読付き国際学術誌において、すでに1編掲載されており、また2編目も掲載に採択されている。この理由により、進捗状況は良好であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題は大きく分けて2つある。 一つ目は、これまでの2編の学術論文において公表した研究成果をさらに発展させ、他の確率過程モデルへの適用を考察することだる。その際には、一致性のみならず漸近分布の導出等にも取り組んでみたい。 二つ目は、エントロピーに依存しない最大不等式を証明するという大目標に、再度取り組むことである。もしそれに成功すれば、今後の課題の一つ目の研究も飛躍的に進展することになるであろう。
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Causes of Carryover |
少額の次年度使用額が生じたが、これは繰り越しを行う金額として許容される範囲内であると思われる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費として使用する予定である。
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