2015 Fiscal Year Research-status Report
確率的手法を用いたTDC/ADC回路の最適設計とその設計自動化技術
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15K00082
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小松 聡 東京電機大学, 工学部, 教授 (90334325)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | LSI設計技術 / 確率的ADC / 確率的TDC |
Outline of Annual Research Achievements |
今後のより一層の集積回路製造プロセス技術の進歩により、より多くの回路素子や回路モジュールが1つのシステムLSIに実現可能となるが、製造テストがトータルコストに占める割合が大きくなる。特に、アナログ回路部分のテストは一般に非常に困難である。本研究では、LSIチップ上でのテストを目的とした、オンチップサンプラ回路の信号取得部分にあたるアナログ・ディジタル変換器(ADC)と時間・ディジタル変換器(TDC)について、確率的手法を用いた回路の回路最適化手法の確立を目的としている。平成27年度は、以下の3点について重点的に研究を行った。 1. 確率的ADC/TDC回路のアーキテクチャの設定と対象アーキテクチャでの各パラメータの性能、回路面積、消費電力への影響の評価の解析とシミュレーションによる評価を行った。ここでは、複数のアービタあるいはコンパレータを並列に並べた一般的なアーキテクチャの確率的TDCならびに確率的ADCを想定し、与えられた性能仕様、回路面積制約、消費電力制約のもとでの適切なパラメータ設定のために、各パラメータがそれぞれの性能にどのような影響を与えるか回路シミュレーションによって評価を行い、ADC/TDCの自動設計に必要なデータベースを構築するための結果を得た。 2. 広帯域サンプル・ホールド回路の提案と評価を行った。テスト目的にADCを用いる際のサンプル・ホールド回路について、広帯域な特性を持つ回路を設計し、帯域およびSNRについての評価を行った。 3. 参照電圧が不要な確率的ADCの提案と評価を行った。ディジタル設計で用いられるスタンダードセルのみを用いた確率的ADCを新規に提案し、評価を行った。提案回路ではアナログ参照電圧が不要なため、アナログ・ディジタル混載システムに用いるADCとして、非常に有用であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した、確率的ADC/TDC回路のアーキテクチャの設定、および、対象アーキテクチャでの各パラメータの性能・回路面積・消費電力への影響の解析と回路シミュレーションによる評価については概ね順調に進んでいる。TDCについての評価が多少遅れているが、今後重点的に進めていく予定である。 また、要素技術の新規提案についても、広帯域サンプリング・ホールド回路、参照電圧不要な確率的ADCなどいくつかの項目が提案できている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に検討した、確率的ADC/TDCにおける性能、回路面積、消費電力などの設計パラメータ依存性を利用した回路最適化手法の検討と提案を行う予定である。性能、回路面積、消費電力などの要求仕様を満たす設計パラメータの探索手法を提案し、その最適化手法自体の評価も行う。 提案した最適化システムを用いて実際に様々なパラメータと設計制約の確率的ADC/TDC回路を設計し、回路シミュレーションによって動作を確認することで提案手法の有効性を示す予定である。また、あわせて、構築した確率的ADC/TDC回路の自動生成システムの有用性をさらに明確にするために、自動生成したADC/TDC回路をLSIチップに実装し、その評価を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度は2件の学会発表を行ったが、いずれも3月開催であり、年度末まで旅費額が確定しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度はLSIチップ試作費用などもあり、計画的に使用を行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)