2015 Fiscal Year Research-status Report
ビッグデータ解析に基づくクラウド信頼性評価法の開発と応用
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15K00102
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田村 慶信 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (20368608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 茂 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50166708)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ビッグデータ / クラウドコンピューティング / ソフトウェア / 信頼性 |
Outline of Annual Research Achievements |
OpenStackやEucalyptusなどのオープンソースソフトウェアを利用したクラウド環境の構築に注目が集まっている.特に,データの一元管理,低コスト,保守・運用が容易といった観点から,こうしたオープンソースソフトウェアを利用した開発・運用が活発化している.特に,クラウド環境全体におけるソフトウェア故障について考えた場合,クラウドソフトウェア内で発生するものだけではなく,データベースソフトウェア上で発生するソフトウェア故障を考慮することは非常に重要となる.本研究課題の平成27年度においては,ビッグデータを扱うクラウドコンピューティングの運用上の特徴を包括するために,ビッグデータ属性に基づく信頼性評価法を提案した.具体的には,ビッグデータを扱うデータベースソフトウェアとクラウド基盤ソフトウェアとの関係性を考慮するためにフォールトデータに基づくクラスタ分析を行った.また,クラスタ分析結果とソフトウェア信頼性モデルを融合した信頼性評価法を提案した.さらに,オープンソースソフトウェアとして実際に開発および公開されている,データベースソフトウェアであるHadoopおよびクラウドソフトウェアであるOpenStackにおけるバグトラッキングシステム上に登録されたフォールトデータを適用した数値例を示した.提案手法により,データベースソフトウェアとクラウドソフトウェアとの間におけるフォールト発見事象の振る舞いの違いを把握できるだけでなく,ビッグデータを有するクラウドコンピューティングに対して,環境要因を考慮した信頼性評価が可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ビッグデータとクラウドとの間接的な影響を評価するため,意思決定支援のための階層分析法に基づく信頼性評価法を構築した.これにより,ビッグデータがクラウドコンピューティング環境全体に対して与える影響を,階層分析法により定量化されたノイズとして表現することが可能となった.具体的には,3種類のノイズをもつ確率微分方程式によりクラウドコンピューティング環境に対する信頼性評価モデルを構築した.また,提案モデルに基づいて総ソフトウェアコストを定式化し,最適メンテナンス時刻の推定法を提案した.さらに,実際のオープンデータを利用した提案モデルに基づく具体的な信頼性評価法とともに最適メンテナンス時刻の推定事例を示した.平成27年度においては,当初計画よりも進展があったため,平成28年度に実施予定であったモバイルクラウド特性を考慮した信頼性評価技術の開発に着手した.特に,通信データに依存したビッグデータとクラウド間の相互作用を考慮することにより,実際のクラウド運用環境に適した信頼性評価結果を得ることが可能になった.具体的には,3次元確率微分方程式モデルをジャンプ拡散過程モデルへと拡張することにより,通信データに依存したビッグデータとクラウド間の相互作用をジャンプ拡散過程モデルのジャンプ項により表現した.これに伴い,平成28年度に発表予定であった研究成果を半年前倒しすることにより国際会議や研究会を通して公表するため,平成27年度に前倒し請求を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度において開発された3次元ジャンプ拡散過程モデルに基づいて,モバイルクラウドの特性を考慮した信頼性評価技術を開発する.具体的には,クラウドとそれにアクセスする端末間のトラフィック状況を考慮する.平成27年度に前倒し請求を行ったことから,平成28年度の請求金額が減少するものの,研究全般を遂行する上において問題はない.逆に,研究成果に進展があったことで,平成28年度以降の研究において余裕を持って取り組むことが可能となるだけではなく,新たな技術や手法を提案することも可能となるものと考えている.近年,ソフトウェアフォールトに関しても膨大なデータがWebシステム上に蓄積されるようになっている.こうした状況から,フォールトビッグデータに対する新たな解析手法も提案する予定である.これにより,ビッグデータを有するクラウドコンピューティング環境に対する信頼性評価法として,フォールトビッグデータを有効活用した新たな評価技術の開発に結びつくものと考えている.特に,平成28年度においては,申請段階において考案していた手法のみに依存することなく,積極的に新たな技術開発も行っていきたい.さらに,新たに開発された提案手法に対して,実際のオープンデータを利用した実験を行い,セキュリティ,信頼性,およびソフトウェア工学分野に関係する国内外の関連学会において研究成果を公表する.また,平成29年度における研究計画として,ソフトウェアツールの開発を行う予定であることから,その準備として平成28年度にプロトタイプの開発も行う予定である.
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Research Products
(25 results)