2015 Fiscal Year Research-status Report
ライフログに基づくプライバシーを考慮した高度な見守りシステムの研究
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15K00128
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阿部 匡伸 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (70595470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 直 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50402467)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 見守り / プライバシー / 認知症 / 生活圏 / GPSデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.見守り度合が制御できる生活圏推定アルゴリズム 見守り領域を,人や状況に応じて自動的に設定するために,長期間に渡って取得した位置情報(GPSデータ)から生活圏を推定するアルゴリズムを検討した.生活圏を①自宅,②頻繁に訪れる滞在地,③それらを連結する経路,の3つの要素で定義した.①と②は,GPSデータから移動距離を求め,100m以内に5分以上停留した位置の平均値を滞在地候補とし,滞在地候補を「日」単位で処理した後,収録期間全体で候補をマージすることで滞在地を求める.③の経路の探索はGPSデータをGeoHexコードに変換して行う.この変換により,探索においてGeoHex間の接続性や距離を容易に算出できるばかりでなく,GeoHexコードのレベルにより位置情報の粒度を容易に変更できる.経路探索では,自宅と滞在地間を頻度の高いGeoHexコードが連なるようにで最良優先探索する.また,閾値を超えない限り探索を継続することとし,自宅とある滞在地間の複数の経路を抽出する. 2.プライバシー制御 プライバシーを守りつつ見守り領域を設定するために,ユーザ個人が感じる不快感を客観的に表現できる指標を検討した.その結果,地図上に表示する生活圏情報では,粒度,形状,頻度をユーザが気にすることが明らかとなった.これに基づき,生活圏表現の粒度をGeoHexコードのレベルで調整し,地図上に生活圏を表示させる機能を開発した.粒度は4段階とし,その大きさは内接円の半径が約15m,50m,150m,500mとなる六角形(GeoHex)である.どの六角形の中に人がいるかが分かる.また,不特定多数のアンケートを可能とするために,ブラウザでの表示とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.見守り度合が制御できる生活圏推定アルゴリズム 生活圏推定に影響を与える要因として,広さ,経路の多さ,滞在地の頻度が考えらえる.そこで,これらの要因が異なる3人の学生が1年間に渡って収集したGPSデータを用いて評価を行った.生活圏の正解データは,滞在地を地図上に示し,各自に経路を地図上に描かせて作成した.評価の結果,提案方式のF値はユーザによる差はほとんどなく,その平均は0.85であった.被験者の移動領域やその広さに依存することなく生活圏が推定できると考えらえる.また,F値が高いことから,主観と一致した生活圏を抽出できると考えられる.なお,頻度だけを考慮した場合にはF値が0.5程度となったことから,滞在地間の連結を利用することの重要性が示された.以上により,生活圏推定アルゴリズムの基本検討は完了したと考える. 2.プライバシー制御 プライバシーを保つために好ましい粒度を明らかにするため,見守る側と見守られる側との立場からアンケート調査を行った.被験者は学生14名である.実験の結果, 見守る側としては粒度が細かいほど好ましいとの回答を得た.一方,見守られる側では意見が大まかに2つに分かれた.A群は粒度が粗いほど好むグループであり,プライバシーを重視する.B群は粒度があまりに粗くなると見守りの効果が減ることを嫌うグループである.この結果から,見守られる側ではユーザの意見を反映させる機能が必須であることが示された.見守りシステムにプライバシー制御を組み込む際の方針が明らかになった. 3.スマートフォンとクラウドサーバによる見守りシステムの構築 見守りシステムの骨格を検討するためにプライバシー制御の必要条件を明らかにする必要があった.そこで,当初28年度に予定していた「プライバシー制御」の検討を先に行った.このため,本項目は部分モジュールの開発に留まった.
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Strategy for Future Research Activity |
1.見守り度合が制御できる生活圏推定アルゴリズム 生活圏は個人毎に異なることから,提案アルゴリズムを見守りに応用する場合に各ユーザにどの程度データを収集してもらう必要があるかを明らかにする.また,同一人物であっても生活圏は時間とともに変動すると考えられるので,時間変動が生じるスパンの傾向を明らかにするとともに,その変動が見守りに及ぼす影響の大きさを明らかにする. 2.プライバシー制御 認知症患者とその家族を対象として,見守り側と見守られる側の要求条件をアンケート調査する.また,27年度に開発したGeoHexコードのレベルで調整による生活圏表現の粒度の過不足について明らかにし,実患者に適した粒度を検討する. 3.スマートフォンとクラウドサーバによる見守りシステムの構築 部分モジュールを組み合わせて見守りシステムの骨格を構築する.システム構成は,見守られる側のスマートフォンアプリ,クラウドサーバ,見守る側のスマートフォンアプリとする.見守られる側のアプリは,スマートフォン搭載のGPS で時々刻々と位置データを取得し,これとスマートフォン内に予め蓄積された生活圏データとを比較して,生活圏を逸脱したか否かを判断する.逸脱した場合は,クラウドサーバにその時点の位置データを送り始め,以降,逸脱し続ける間は位置データをサーバに送り続ける.
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Causes of Carryover |
27年度の評価実験ではデータの整理が不要となっため,人件費・謝金を使用せずに済んだ.この予算の一部は実験に必要な物品購入費にあてた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度の評価実験のデータ整理のための人件費・謝金に利用する.
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Research Products
(3 results)