2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on a program development of Music Therapy incorporated into Cognitive Remediation
Project/Area Number |
15K00157
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
小杉 尚子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (80589648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 真一 福島県立医科大学, 医学部, 名誉教授 (30110703)
児玉 直樹 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (50383146)
清水 幸子 信州豊南短期大学, 幼児教育学科, 講師(移行) (60575265)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知リハビリテーション / 音楽療法 / 統合失調症 / 陰性症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、統合失調症患者の社会転帰を困難にしている「認知機能障害」と意欲低下などの「陰性症状」の両方の改善を目指して、すでに効果が検証されている既存の認知リハビリテーションである「NEAR(コンピュータ・ゲームを用いて認知機能訓練を行う)」をベースに、「音楽を取り入れた統合失調症の認知リハビリテーションプログラム(MTCRプログラム)」を開発し、臨床試験によってその効果を確認した。MTCRでは歌唱や楽器演奏などを用いて認知機能を訓練する。例えば、「社会性」を訓練するセッションでは、2人で1つの楽器を演奏しながら相手を思いやることを学ぶ。臨床試験では、35名(男性25名、女性10名、平均年齢42.9歳)の研究参加者を得て、当初計画通りの臨床データを全て収集した。主要データの分析の結果、当初の目標通り、MTCRが統合失調症患者の認知機能障害と陰性症状の両方を改善することを確認した。 臨床試験においては、毎セッション終了後に参加者に対してアンケートを行い、プログラムの内容に関するフィードバックを得た。その結果、平均して約70%の参加者が「プログラムの内容を理解できた」と回答し、平均して約90%の参加者が「楽しかった」と回答した。特に楽しかった活動は「楽器演奏」とのことだった。研究参加者が利用する施設のスタッフからは、MTCRは、参加者の出席率が高かったことや、プログラムの中で学んだこと(例えば、計画や段取り等)を、曲名や演奏した楽器などと一緒に思い出せるので、復習や実践に繋げやすい、等の感想を得た。 以上より、MTCRは統合失調症患者が、楽しみながら認知機能障害と陰性症状の両方を改善できることが分かった。今後は研究参加者や施設スタッフからのフィードバックを活かして、統合失調症以外の認知機能障害を伴う精神疾患患者もMTCRプログラムが利用できるように研究を進めたい。
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Research Products
(4 results)