2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00163
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小柳 滋 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60351326)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孟 林 立命館大学, 理工学部, 助教 (60615938)
中村 健二 大阪経済大学, 情報社会学部, 准教授 (70556969)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ビッグデータ分析 / 甲骨文字認識 / 高齢者の見守り / 交通現象の情報取得 / FPGA / バースト解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ハードウェアとソフトウェアの協調によるビッグデータ分析のリアルタイム処理基盤の確立を目指している。平成27年度はハードウェア、ソフトウェアの基礎的な研究を行ったが、平成28年度は実ビッグデータの応用の研究を中心に行った。以下の3つの分野において研究を行った。 1:平成27年度に引き続いてクラスタリングとパターンマッチング技術を応用した甲骨文字の認識に取り組んだ。27年度の提案方式は認識に関わるパラメータがいくつか存在し、これまでは予備実験や人手作業によりその値を調整していた。28年度は、パラメータをクラスタリングにより自動で決定する手法を提案した。その結果、提案手法の認識率が大幅に向上することを示した。 2;高齢者の状況をリアルタイムに見守るため、カメラを設置し、常時撮影した画像の差分を取ることにより人間の動きを検出し、人間の中心点があらかじめ定義した危険エリアにいるときに危険と判断し、対応する動作を行うシステムを提案した。危険かどうかを判断するために、閾値の設定が重要である。本システムでは学習を用いて、自動的に閾値を設定することを目指している。 3:イベントの急激な変化を迅速にとらえるリアルタイムでのバースト解析を実現するアルゴリズムの発展として、交通現象のキーワードをリアルタイムに獲得する研究を行った。交通事故などの交通現象の監視には,監視カメラやトラフィックカウンターなどが用いられているが,定点監視であるため監視範囲には限界がある。そこで,マイクロブログを解析し,交通現象に係わる情報取得を補完する方法について研究を進めた。本研究では,交通現象発生時に関連するキーワードがバーストする特性を用いて,リアルタイムバーストアルゴリズムを適用し、交通現象の獲得に有用なキーワードを抽出し,その有効性を評価した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの応用分野の実際のビッグデータを用いて、手法の提案および評価実験を行い、それぞれ良好な結果を得た。 甲骨文字認識については劣化の激しい画像を含む20個の甲骨文字画像と31種のテンプレートを用いた実験の結果、パラメータ固定の手法の認識率が51.25%であるのに対し、本手法では92.25%に向上した。 高齢者見守りについては、トイレにおいて事前に設置した危険領域での危険検出が実現でき、リビングルームにおいて楕円近似の手法を用いて危険検出が実現できた。また、これらの動作をRaspberry Piで実現し、低消費電力であることが示された。 交通現象の情報取得については、評価実験を通して、既存のキーワード選定手法をそのまま交通現象の収集に適用した場合の課題である「出現数の少ない未登録のキーワードへ対応できない課題」と「選定したキーワードが恒常的に投稿に含まれる課題」を解消できていることを確認し、提案手法にて選定したキーワードは、リアルタイムな交通現象の獲得に有用であることがわかった。さらに、提案手法により選定されたキーワードの特性を明らかにした。この結果から提案手法は既存手法と組み合わせることが最も有効性が高くなると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
甲骨文字認識については、深層学習を用いて線分抽出できない文字の認識を目指し、更なる高精度の認識を目指す。また、日、中、韓での漢字を中心にした拓本の認識を実現し、応用分野の拡大を目指す。 高齢者見守りについては、全ての部屋での危険検出の対応の実現を目指す。また、ペッ トを飼育している等の特殊なケースでの対応も実現したい。 交通現象の情報取得については、投稿内容が指し示す交通現象を特定し、道路管理者へ適切に情報配信する手法を考案する予定である。そのためには、投稿に含まれる位置情報や、投稿を行ったユーザの利用が考えられる道路の推定などが必要になると考えられる。 また、リアルタイムバーストの適用先として、インターネット上でのユーザの行動の解析に着目する。特にネットショッピングにおけるユーザ行動は多種多様であり、様々な特徴が含まれているため、リアルタイムバースト技術を活用する事で、その特徴を高精度に把握できると考えられる。 今後、以上3つの応用分野でさらに研究を進めるとともに、これらの研究成果を統合して、ビッグデータのリアルタイム処理基盤技術の確立を目指す。また、ハードウェアの積極的な支援による高速化についても研究を深めていきたい。
|
Causes of Carryover |
英語論文の校正を予定していたが、予算オーバー、あるいは納期が間に合わないため次年度に繰り越すことにした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越していた英語論文の校正に用いる。
|
Research Products
(6 results)