2016 Fiscal Year Research-status Report
ホログラフィー技術を用いた三次元計測専用計算機システムの構築
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15K00175
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
増田 信之 東京理科大学, 基礎工学部電子応用工学科, 准教授 (60323333)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ハイパフォーマンスコンピューティング / 専用計算機 / ディジタルホログラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,様々な分野でデジタルホログラフィーを使用した三次元計測が行われている.特に生体内の物質を輸送する血液の動きと赤血球などの形状を計測することは,生体内の物質の輸送機構を解明するために非常に重要なことである.また,近年になって三次元高速度イメージングにおいても,デジタルホログラフィーを応用した計測が行われてきている.しかしながら,これらの計測において,撮影されたホログラムから三次元空間を再生するためには,膨大な計算時間を必要とする.本研究では,デジタルホログラフィーを応用した三次元計測を支援する三次元空間再生用専用計算機システムの構築し,それを様々な三次元計測に応用し,上記のような問題を解明することを最終的な目標としている. 平成28年度においては,市販のFPGA評価ボードを用いて,平成27年度に作成した計算回路を実装し,性能の評価を行った.この専用計算機ボードには,流体解析用計算パイプラインを四本搭載し,高速イメージング用計算パイプラインは八本実装することが出来た.並列に計算できる再生面の数は16面(高速イメージングの場合は32面)になったが,FPGAボードとの通信時間が予定よりかかることになり,通信時間がボトルネックになっていることが確認出来た.この問題に関しては,利用しているデバイスドライバーとFPGA内の通信部の改良による解決法の検討をおこなっている.具体的な方策としては,デバイスドライバーとFPGA内の通信部にDMA転送を可能にする追加ユニットを加えることと,専用計算機システムの制御において通信と計算を二重化し通信時間の隠蔽を図るようなスケジューリングを行なえるようにする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
市販のFPGA評価ボードを用いて,平成27年度に作成した計算回路を実装し,性能の評価を行った.この専用計算機ボードには,流体解析用計算パイプラインを四本搭載し,高速イメージング用計算パイプラインは八本実装した.並列に計算できる再生面の数は16面(高速イメージングの場合は32面)になったが,FPGAボードとの通信時間が予定よりかかることになり,通信時間がボトルネックになっていることが確認出来た.また,通信の高速化のための手法についての検討も行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,専用計算機クラスタシステムの性能評価を行う.PCクラスタでの計算の場合,通信時間が全体のボトルネックとなる可能性が高い.本システムにおいてはPCと専用計算機ボード間の通信時間と計算時間の割合から理論的には90並列が最高となり,64個の計算パイプラインを動作させ,通信と計算を同時に行った場合,通信時間がキャンセルできると考えられる.実際は一台のPCでは並列数は16並列,または32並列なので,通信時間がボトルネックになることはないと期待できる. また,平成27年度の結果をもとに,三次元空間再生計算部分と二次元FFTを用いた速度場解析処理部分を動的に変更し,計算する三次元流体速度場可視化システム構築し,その性能を検証する.計算用FPGAの動的な変更は,計算時間のロスや,書き換えが正確に行われるかどうかの検証などが必要となるが,それについては,平成27年度の結果と,この時点での結果をふまえ,回路情報の動的変更がうまくいかない場合は,四台のPCを二台ずつにわけ,三次元空間再生と速度場解析を同時に行うシステムに変更する予定である.この場合,計算の高速化については,若干の性能低下が起きるが,三次元空間の再生と速度場の解析は,最初の三次元空間再生計算以外は,同時に処理することが出来る.高速イメージングに関しては,この問題はないと推測できる. さらに,実験系の研究室と協力して,実際の撮影系に専用計算機クラスタシステムを導入して,性能評価を行う.まずは,模擬的な構造物を流体の中に流し,その形状の解析を行うことで,形状解析について評価・検証を行う.また,それぞれの問題で予想される理論値との比較を行うことで検証し,その有効性を確かめる.
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Causes of Carryover |
購入予定物品が計画時より購入価格が安くなったため使用金額が低くなり,繰越金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入予定であるFPGA設計CADの一部が海外からの取り寄せで,円安の影響を受けるため,その追加支出に使用する.そのため,その他の費用に計上する.
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Research Products
(3 results)