2016 Fiscal Year Research-status Report
心拍と軸流を考慮した大動脈内の血流と大動脈弁開閉動作の解析に関する研究
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15K00176
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
向井 信彦 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (20350233)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 可視化 / グラフィクス / シミュレーション / バーチャルリアリティ / 医療応用 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は本研究2年目の年に当たるため、初年度に作成した大動脈モデルに対するシミュレーションを行った。 ただし、初年度に作成した大動脈モデルはほぼ直線状のモデルであったため、再度、実心臓のデータを基にして、左心室から大動脈に至るまでのモデルを作成した。作成したモデルは直線状のモデルではなく、実心臓の形状を維持したモデルである。また、再度作成したモデルを基にした血流と大動脈弁の開閉シミュレーションを行った。特に、心拍を考慮したシミュレーションを行うため、左心室側へ血液を流入し、左心室側の圧力上昇に伴って大動脈弁が開き、血液が大動脈側に流れる様子をシミュレーションした。 シミュレーションの結果、左心室側の圧力変化は文献における圧力変化とほぼ等しくなり、大動脈側の圧力変化も左心室側の圧力変化に伴って、文献値と同様に変化した。さらに、左心室側への血液流入に伴い、左心室側の圧力が高まった結果、大動脈弁が開き、血液が大動脈側に流れる様子を確認することができた。ただし、左心室側の圧力変化および最大圧力が文献値に近い値を示したのに対し、大動脈側の最大圧力が文献値よりも小さな値となった。これは、大動脈側の先端が開放されているため、左心室側から大動脈側に流れた血液粒子がモデル外に流出し、圧力が一定以上には上昇しなかったためであると考えられる。 今後は、大動脈側の先端を閉じて大動脈側の圧力値を文献値に近づけることと、血液が渦を巻く軸流を考慮したシミュレーションを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレーションモデルの再作成を行ったため、軸流の考慮までには至らなかったが、心拍を考慮した圧力変化のシミュレーションは実現することができ、また、左心室側の圧力上昇に伴い、大動脈弁が開く様子を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実心臓のデータを基にしたモデルの作成と、心拍を考慮した圧力変化のシミュレーションは達成できたため、今後は軸流を考慮したシミュレーションを行うと共に、平成28年度における研究成果より課題となった大動脈側の先端を閉じることで、大動脈側の最大圧力も文献値に近づけるシミュレーションを行い、本手法の妥当性を評価する。
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Causes of Carryover |
アジアで開催される国際会議を中心に発表を行ったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
欧米で開催される国際会議でも広く発表を行い、また、研究成果をまとめて論文投稿する計画があるため、その費用として昨年度の残額を使用する。
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