2015 Fiscal Year Research-status Report
ウェブ上の新動詞の分析に基づく心的辞書のダイナミズムの理論構築
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15K00199
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
宇野 良子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40396833)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知言語学 / ウェブコーパス / 新語 / 動詞 / オノマトペ / 心的辞書 / 進化言語学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウェブに見られる新造語の分析を通じ、人の頭の中にある語彙知識の総体(心的辞書)のダイナミズムについての理論を、進化言語学的観点から構築する。分析対象は主に新動詞とする。そして、通常の語とそれを取り巻く新語のダイナミズムを「心的辞書の代謝」と捉え、そのメカニズムを、データを認知言語学的に分析にすることで解明する。更に、進化言語学的観点から、心的辞書の代謝が言語の成立に果たす役割についての理論を構築する。 初年は、まず、研究に用いる新動詞のウェブデータの整理を行った。また、若者の新動詞の認識や用法を調べるアンケートを行い、集計分析した。更に、新動詞を産出するような創造性についての理論的な研究に着手するため、インタビュー調査を行い、そのデータ整理・分析した。 業績としては、まず、昨年度の国際認知言語学会で、新動詞のうちオノマトペを語幹とするものについての口頭発表を行った。また、この内容を含む、新動詞の意味変化についての投稿論文を現在執筆中である。更に、関連する研究を本年度のイギリス認知言語学会に応募し、採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定以上に進展した部分と、遅れが出ている部分があるが、全体としてはおおむね順調に進展していると言える。データ整理に関しては、研究協力者の所属の移動などがあったため、予定よりも遅れがでている。だが一方で、新語産出に関わる理論的な研究については、インタビュー調査により新しい展開があり、予定していた以上にすすめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の理論的研究の展開により、新語データそのものの分析に加えて、新語を産出する人の持つ創造性についての認知科学的な分析を行うことが、本研究の目指す心的辞書のメカニズムの解明に有効であることが分かった。二年目はこの方向での研究を更に進めていく予定である。本年度は、具体的な新動詞の分析をトピックとした現在執筆中の論文を完成させ、加えて、進化言語学的観点から理論的な論文を執筆する準備をする。
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Causes of Carryover |
データの分類に予定よりも時間がかかっているために、国内学会参加を見送ったことと、作業順序が変更になったため、機材の購入のタイミングが2年目にずれ込んだことで、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究打ち合わせのための旅費と、予定通りの機材を購入するために用いる。
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