2017 Fiscal Year Annual Research Report
Cognitive science research on individual difference in empathy
Project/Area Number |
15K00205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 理朗 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (60399011)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 共感 / 偏見、葛藤 / オキシトシン / 社会的サポート / 文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
・共感や環境感受性との関わりが見出されているオキシトシン受容体(OXTR)と,状況要因は個別に泣き声への反応に対する影響が検討されてきたが, 従来不明であったそれら二次の交互作用に着眼しOXTR Gアレル保有者は適切な養育行動を示すが,被養育経験がネガティブなOXTR GGアレル保有者は情動制御の能力が低く,特性的な制御能力の低い個人は状況的な負荷の影響を受けやすい (Dodge, 2011)等と一致する知見を見出した。得られた結果は,被養育経験がネガティブなGアレル保有者は特性的な自己制御が低く,泣き声への処理が困難であり,状況的な負荷の影響を受けやすくなった可能性が示唆された。 ・愛着不安が高い母親において,配偶者が同室することで,泣き声聴取時のストレスが低下することが示された。愛着不安が高い個人は泣き声に対してストレスを感じやすく,育児にリスクを抱える個人に対して,配偶者が傍にいることが効果的な介入として成立する可能性が示された。一方で,接触は泣き声によるストレスを高めていた。その理由としては,泣き声聴取中に手を塞がれることが適切なサポートではなかった可能性が考えられる。 ・人種のカテゴリー知覚課題を行わせ,課題中のPFC活性を測定すると同時に,人種に対する偏見態度を測定することで,脳活動と心的態度の両側面から人種のカテゴリー知覚が生じるメカニズムについて検討した。その結果白従来示されてきた知覚バイアスが再現された。加えてこのバイアスは右VLPFCが賦活するほど強くなること,および右VLPFCの賦活はアジア人の能力を高いとみなす態度とも関連が示された。
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