2015 Fiscal Year Research-status Report
嗅覚の異常から脳の異変を感知する ーレム睡眠行動障害の嗅覚部位の賦活と体積測定ー
Project/Area Number |
15K00210
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
政岡 ゆり 昭和大学, 医学部, 講師 (70398692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 満 昭和大学, 医学部, 客員教授 (20161375)
泉崎 雅彦 昭和大学, 医学部, 教授 (20398697)
吉田 正樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30220677)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レム睡眠行動障害 / 嗅覚障害 / パーキンソン病 / 認知症 / 記憶 / 情動 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに健常者の嗅覚情報が脳内でどのように伝達するのかを明らかにしてきた。またこの結果を基に嗅覚障害を初期症状とするパーキンソン病(PD)において嗅覚の認知を妨げる損傷脳部位を明らかにしてきた。本研究ではパーキンソン病の初期症状として同様に認められるレム睡眠行動障害(REM sleep behavior disorder; RBD)において嗅覚のレベル、嗅覚の脳内経路、嗅覚関連部位の体積を測定し、PDの嗅覚認知過程と嗅覚関連部位がどのように異なるかを検証するものである。昭和大学医学部倫理委員会へ研究内容、同意書、説明文を提出し、承認を得た。昨年4月―8月にかけて機器の購入、設定、若年健常者におけるfMRI下での嗅覚刺激予備実験を実施し、最適な撮像、解析条件を設定した。fMRIの解析において重要とされる呼吸と脈波を撮像時に同時に記録し、呼吸と脈波の生理反応によるノイズを軽減させるための解析法(SPM DRIFTER処理)を行い、より明確で妥当性のある結果を導くことができ、この成果は2016年3月の生理学会学術大会にて発表を行った。 また昨年9月より対照群として高齢健常者30例の嗅覚テスト、記憶テスト(MMSE, Moca)を初め、参加基準を満たす人数を確保した。 同時にレム睡眠行動障害についての文献を収集し、海外における研究状況を把握するとともに、予想される結果においてどのように考察していくかについて計画を立て、上記病体の発症以前の睡眠障害と嗅覚障害についての重要性をJournal of Alzheimer's Disease & Parkinsonismに投稿し、2016年4月14日に受理された。本論文により多くの医師や研究者にパーキンソン病の初期症状としての睡眠障害、嗅覚障害の早期発見の重要性が理解されることを期待する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでにfMRI下において若年健常者において嗅覚刺激時の脳内賦活領域を撮像しており、どの機器が必要であるか、またその設定方法を把握していた為、予備実験までに計画的に進むことができた。またこれまでの研究結果を基に幅を広め、文献の知識も得ていたことが迅速に進んだ理由と考える。 今年度4月より高齢健常者のfMRIを開始し、解析を始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
高齢健常者においてMRIのスキャナーでの撮像は初めての為、どのような点に注意、留意すべきか現在検討しながら進め、今後、患者において検査を進める上で考慮していきたい。また高齢者における嗅覚刺激による脳内の賦活が、若年層と比較しどのように異なるかを検討し、特に記憶に関わる海馬や情動に関与する扁桃体に焦点をあて解析を行う。記憶テスト(MMSE, Moca)と海馬、扁桃体、認知に関与した前頭葉との賦活の相関性を本年度9月までに検証する。 同意を得られた患者において記憶テスト(MMSE, Moca)、嗅覚テストを施行し、撮像予定である。
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Causes of Carryover |
初年度においては必要な機器を揃え、妥当性のあるデータを測定できることを目標にしており、機器の充実性を重視し研究費を使用した。論文投稿費用あてる予定であったが、投稿時期が遅れ、次年度への使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
脳機能をみる研究では解析法や技術の向上のスピードが早く、その手法を学ぶ為には海外の学会や研究会へ参加することが望ましい。筆者の論文投稿費用、またその発表を国際会議で行う為の参加費、旅費に使用を希望する。
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