2016 Fiscal Year Research-status Report
音楽的行動の発達基盤に関する研究:身体性認知科学および生態心理学からのアプローチ
Project/Area Number |
15K00212
|
Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
丸山 慎 駒沢女子大学, 人文学部, 准教授 (60530219)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今川 恭子 聖心女子大学, 文学部, 教授 (80389882)
村上 康子 共立女子大学, 家政学部, 准教授 (20458863)
長谷川 慎 静岡大学, 教育学部, 准教授 (00466971)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 音楽的行動 / 子ども / 身体 / モノ / 楽器 / 探索 / 発達 / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高次の認知活動である音楽的行動の発達基盤を明らかにするために、特に乳幼児期の子どもと音の出るモノ(玩具・楽器)との「身体的な関わり」に焦点を当てた調査研究を行い、その成果に対して理論的な枠組みを与えることである。以下の3 点を主たる問題として設定している:(1)音の出るモノをめぐる子どもたちの多様な探索的行動は「音楽的な行動の発達の契機」として捉え直すことは可能かどうかを検討する、(2)子どもを取り囲む社会的環境(例えばその場を共有する養育者)からの働きかけの特徴とそれらが子どもの探索に及ぼす影響を分析する、(3)身体的活動と音楽的発達との関係について、近年の身体性認知科学および生態心理学的な観点から理論的に精査し、本研究の成果を保育および音楽教育といった実践領域に還元する可能性を探る。 これらの目的および計画に基づき、本科研2年目となる今年度(平成28年度)は、「音楽性」をめぐる理論的な根拠となり得る書籍の翻訳出版に向けた作業や乳幼児期の音楽表現に関する書籍(保育士・幼稚園教諭向け)の刊行、関連学会での研究発表やランドテーブル等での成果の公表を行った。また音楽教室の講師を対象としたインタビュー調査のテキストマイニングによる分析や既得データの再精査等の作業も継続して実施し、これらの成果の一部も関連学会で発表するとともに学会誌論文としての投稿を準備している段階である。また音楽の熟達者とともに人間の音楽的発達に関するワークショップも実施し、多角的な活動が展開できものと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」でも報告した通り、今年度は研究分担者らと共同して本科研プロジェクトにとって重要な書籍の翻訳出版に向けた作業および関連書籍の刊行など、具体的な成果に直結する活動を展開することができた。これらの活動に限っていえば、進捗状況としては順調であるということになる。しかしこれらの活動への比重が当初の予想よりもやや大きくなってしまったこともあり、子どもの探索活動を観察するための新規の調査や実験の実施が後手に回ってしまい、これらに関しては限定的な活動に留まってしまっている。以上を背景として、総合的な見地からみた本プロジェクトの進捗としては「やや遅れている」という評価にした。
|
Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」において指摘した通り、成果物の取りまとめが一段落してきたこともあり、子どもの音をめぐる探索活動の観察や実験的調査の体制を早急に整え、データの収集に注力していく。これまでの研究分担者との活動のなかで、すでに予備的な観察データは得られており、プロジェクトの総括の方向性も定まってきているので、スケジュールを精査しながら進めていくことで、やや遅れていると思われる部分を補っていくことができると考えている。
|
Causes of Carryover |
次年度に使用額が生じた理由としては、当該年度に購入予定であった発話分析用のソフトウエア「Text Mining Studio(NTT数理システム社製)」の導入時期を再度検討したことによる部分が大きい。本年度は当ソフトウエアの「体験版」の提供などを受け、その使用を重ねることで、当ソフトウエアで使用するデータの形態や分析可能な内容について改めて精査することを優先した。そのため導入の時期が年度末に近づくことになってしまい、次年度での購入をすることにしたために使用額が変動した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度中に上記のソフトウエアを使用することで本研究プロジェクトで収集したデータが過不足なく分析できることが明らかになったことから、平成29年度にソフトウエアを購入することにし、そのために物品費が変動する。また現在継続中の分析や成果公表も複数回予定していることから人件費・謝金および旅費等の使用額も当初の予定金額に近接するものと考えている。
|
Research Products
(15 results)