2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00216
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
篠田 博之 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (40278495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬谷 安弘 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (30454721)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 白内障 / ヘイズ値 / 光学散乱 / 同時色対比 / ディスプレイカラーマネジメント / 色順応 / 色恒常性 |
Outline of Annual Research Achievements |
一つ目の課題である白内障簡易測定手法の開発では、当初のベイズ推定を用いたqCSF法による空間解像力測定ではなく、同時色対比現象と周辺色光の光学散乱による色の見えの変化に着目した手法の開発に変更した。実験ではグレーの中心刺激の周辺に色刺激を配置することで同時色対比が誘導される状況を実現しておき、ヘイズ値が既知であるフィルターを着用した若齢被験者(擬似白内障被験者)が観察した。フィルターがヘイズ値が低い場合は同時色対比により、グレー刺激は周辺色と反対色の色味に色づいて見える。しかしフィルターのヘイズ値が上昇すると、周辺色光が散乱され光学的に重畳されるため、色対比を打ち消して周辺と同色の方向に色ズレが起こる。この色変化の度合いをフィルターのヘイズ値ごとに算出し、白内障水晶体のヘイズ値を推定する関数として求めることに成功した。 もう一つの課題である色順応を考慮したカラーマネジメントでは、照明の異なる二つの部屋を隣接して設定し、一方の部屋に置かれたディスプレイの色をもう一方の部屋に置かれた色票の色に等色する作業(継時等色)を行い、異なる照明環境間で同じ色を実現するための色変換行列を求めた。これまでは複数の異なる照明光下で色票とディスプレイを並置して等色を行い(並置等色)、色変換行列を求めていたが、それに比べるとかなり小さめの色変換となることが示された。つまりこれまでの手法では完全色順応が成立していることを前提に大きな色変換をおこす色変換行列であったのに対し、本当に色の見えを等しくするためのカラーマネジメントでは、より不完全な色順応を反映した色変換が必要であることがわかった。しかし現実的には異なる環境間での色比較や等色作業はできないため、複数の異なる環境下で並置等色を行って色変換行列を算出し、そのままでは過剰な色変換となるため、本実験結果の知見を用いて補正する手法を確立する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一方のディスプレイカラーマネジメントの研究課題は予定通りに進捗しているが、もう一方の研究課題である白内障簡易測定方の開発においては、申請時点で計画していたqCSFによる空間解像力測定による簡易測定法ではなく、同時色対比と周辺色光の光学散乱による色の見えの変化に着目した手法の開発に方向転換したが、得られた実験データ自体は良好であり手法としても適切であることが示されたため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
ディスプレイカラーマネジメントの課題においては、現実的に適用可能な手法として手順を確立するとともに、必要な色変換行列の補正量を照明条件の関数として確立することを目指す。もう一方の周辺色光による色の見えの変化に着目した白内障簡易測定法を確立する方向に転換し、手続きの簡易化を進めつつ、測定手法のさらなる精度向上を目指す。
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