2017 Fiscal Year Research-status Report
側頭葉顔ニューロンにみられる時間的情報コーディングの神経機構の解明
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15K00220
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
菅生 康子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (40357257)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 顔知覚 / 側頭葉 / 単一ニューロン活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、顔を識別するための神経基盤と考えられる、側頭葉ニューロンによる顔画像情報の時間的コーディングの神経機構を明らかにすることにある。時間的コーディングとは、サルの下側頭皮質(TE野)の神経発火に、顔の大まかな分類(サルかヒトか)が、より詳細な分類(個体や表情)より時間的に早くコーディングされている現象である。顔を逆さにするとTE野のニューロンは大まかな分類情報は処理するにもかかわらず個体や表情の情報量を減らすことを発見した(Sugase-Miyamoto et al., 2014)。また、大まかな情報をコードするニューロンと顔の倒立に影響をうけるニューロンが異なることも示唆された。すなわち、大まかな情報と、倒立顔に影響を受ける詳細な情報は異なるニューロンで処理されることが示唆された。これらの結果は、主に、TE野前部の顔領域(前部顔領域)で得られた知見である。そこで、情報の時間的コーディングの神経機構を明らかにするため、前部顔領域とそれより後方に位置する情報の入力源(後部顔領域)を特定し、それら領域で情報の時間的コーディングの違いを調べる。詳細な情報は前部顔領域における処理により生じると仮定すると、詳細な情報は前部顔領域で主に観察され、他方、大まかな情報は前部および後部顔領域ともに観察できることが推測される。本年度は、多電極アレイを3個、実験動物のTE野に埋め込み、神経細胞活動の記録を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多電極アレイを用いた記録実験を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
後部顔領域においても倒立顔の影響を調べ、後部顔領域の大まかな情報が、前部顔領域の大まかな情報の入力源となり得るかどうかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
より精緻な目的達成のために期間を延長するため。実験のための物品費として使用する。
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