2016 Fiscal Year Research-status Report
離散Bayes識別理論による個別化医療のための肝癌再発予測
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15K00238
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
浜本 義彦 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (90198820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 徳男 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 教授 (80332807)
藤田 悠介 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (40509527)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | パターン認識 / 癌 / 診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝癌の難治性は、その再発の高さにある。たとえ手術で全ての癌を完全に摘出しても1年後には30%近くの再発が生じている。再発予測の意義は、仮に再発する可能性が低ければ、患者は見えない癌の恐怖から開放され、副作用の危険性のある抗癌剤が不要となり、患者はこの上ない恩恵を受けることができる。また医療費の高騰を抑制することもできる。一方再発の危険性が高ければ、先制医療として適切な医療が行われる。このように、患者個々に応じた医療が、個別化医療である。この個別化医療を実現するために、再発予測が必要なのである。 28年度では、27年度に整備した疾患データベースを用いて離散Bayes識別則を構築して「こと」を取り扱える独自の特徴選択法により最適なマーカー群を選択し、肝癌再発を予測した。独自の特徴選択法では、まず利用できるサンプルを仮想訓練サンプルと仮想テストサンプルに分割し、仮想訓練サンプルを用いて離散Bayes識別器を設計し、その離散Bayes識別器で仮想テストサンプルを識別することで候補となるマーカーの組を評価し、仮想テストサンプルに対する識別性能が最高となるマーカーの組を最適解として選択する。 実験結果では、医学的に意味のある最適なマーカー群を選択することができ、再発予測で最も重視する感度0.86を特異度0.49のもとで達成した。ここで感度とは、癌再発の検出率であり、感度が高いと再発の見逃し率が低いことを意味する。これらの数値は従来の代表的なスコア式であるTokyo-score, Modified Jis, TNM分類のいずれも凌ぐ優れたものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度は、保険適用される検査データのみを用いて、臨床応用可能なレベルの予測精度を達成できた。また医学的にマーカー群の意味づけも行った。この研究成果はバイオインフォマテックスではトップクラスであるインパクトファクター2.134のBioMed Research Internationalに論文として採択され、また27年度に出願した特許も査定を受け、権利化できた。
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Strategy for Future Research Activity |
離散Bayes識別則を用いた個別化医療の実現を目指して、様々な医学問題、例えば胃癌のリンパ節転移予測問題や抗癌剤治療の効果予測問題等へ離散Bayes識別則を適用し、その論文発表を計画している。更に28年度に査定された特許をもとにした事業化も検討する。
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Causes of Carryover |
当初、消耗品の購入用に計上した予算1万円は別予算で補うことができたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入
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Research Products
(2 results)