2016 Fiscal Year Research-status Report
低照度・高品質撮像のための画像疎表現理論に基づく新カラー動画像復元法の開発
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15K00250
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
斎藤 隆弘 神奈川大学, 工学部, 教授 (10150749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 隆 神奈川大学, 工学部, 助手 (80241115)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ポアソン分布 / ガウス分布 / 信号依存性雑音 / 画素ビニング / 3次元冗長DCT / 分散安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
夜間の監視カメラ映像のように,極端に暗い状況下でイメージセンサによって光電変化された信号は,統計的にはポアソン乱数に白色ガウス乱数が加えられたポアソン-ガウシアン確率分布でモデル化される.極端に暗い状況下で実際に観測される信号値は,復元の過程に統計的信頼性を高める何らかの手法の導入が必要である.本研究では,時空間画素ビニングと3次元冗長サブサンプリングとから構成される仮想的多重撮像処理,動画像雑音除去処理,復元動画像を生成するための超解像ぼけ復元処理の3つのより構成される復元法の検討を行った.これらの結果を,電子情報通信学会にレターとして報告した.小松隆,近藤崇吾,齊藤隆弘,「仮想多重撮像と超解像ぼけ復元を用いた超低照度ポアソン--ガウシアンカラー動画像の復元」電子情報通信学会論文誌D,Vol. J99-D, No.9、pp.879-883, 2016年9月.また,国際会議ICIPで研究成果の報告を行った. T.Komatsu, S. Kondou and T. Saito,“3-D Redundant DCT Restoration Method for MPEG-Compressed Video”, 2016 IEEE Region 10 Conference, 262, Nov. 2016. さらに,本研究で提案する復元法の更なる性能改善のため分散安定化変換を導入した方式を検討し、その検討結果を学会大会で報告した.張鍵,小松隆,齊藤隆弘「ポアソン-ガウシアン カラー動画像の復元 - 分散安定化変換の有効性の評価 -」,電子情報通信学会総合大会, D-11-13, 2017年3月.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていた、疎表現理論に基づく、低照度画像の高品質復元法に関する一連の処理をシミュレーションするプログラムがおおむね完成し、プログラムにより本研究課題で提案する低照度撮像された動画像復元法の性能評価を行い、得られた成果を得られた成果を学会大会等で発表した。また、これまでの研究成果をまとめ、電子情報通信学会のレターとして報告し,国際会議ICIPにおいて研究成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
JPEGおよびMPEGにおいて,2次元DCTが用いられた1980年代以降,2次元DCTが最も効率の良い変換方式と認識され,広く画像処理に応用されてきた.一方,DFTに関しては,1980にJ. S. Limにより2次元Short-Time DFTを用いた静止画像の雑音除去法が提案されたが,その後2次元ST-DFTの静止画像/動画像処理への応用に関する進展は見られていない.音声や音響信号処理の分野では,これまで1次元ST-DFTは有用な解析法として広く用いられてきた.画像復元のために,画像から互いに重なり合わないサブブロックを切り出して,そのDFT係数を処理すると,復元された画像のサブブロックの境界に沿ってブロックひずみと呼ばれる目立つひずみを生じてしまう.ST-DFTはこのブロックひずみの発生を抑制する有効な手段である.ST-DFTでは,入力信号に窓関数を掛け合わせてからDFTし,その変換係数を処理する.窓関数はサブブロック内のブロック境界に近づくにつれゼロに減衰する重みを持つ.静止画像処理に対しては,2次元DFTと2次元DCTとは互いに似た特性を示す.一方,動画像処理に対しては,3次元DFTと3次元DCTとは信号の表現効率の観点で異なっている.3次元DCTでは暗黙の裡になされている信号の偶対称化処理により,ある程度の表現効率の低下を生じる.このため,3次元DFTは3次元DCTよりもより有効な変換となると考えられる. 本研究課題の検討を行っている過程で、上記の事実が明らかとなってきた.これまの検討では,動画像の疎表現を3次元DCT領域で実現する方式の検討を行ってきたが,本研究課題で検討する復元法の更なる性能改善が期待できるため、3次元SD-DFT領域での疎表現を実現する復元法の検討を行ってゆく必要がある。
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Causes of Carryover |
納入価格の正確な金額が不明な最終発注品を、予算内で購入したため、差額を生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算に対して、本使用残額はわずかであり、当初の計画に変更なない。
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Research Products
(6 results)