2016 Fiscal Year Research-status Report
スパース表現を用いた多視点ライトフィールド画像の実時間符号化に関する研究
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15K00257
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
黒木 祥光 久留米工業高等専門学校, 制御情報工学科, 教授 (60290847)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ライトフィールド画像 / 分散圧縮符号化 / 多視点画像処理 / 信号のスパース表現 / 凸最適化問題 / エピポーラ幾何 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の実施状況報告書に記載した通り,並列処理による高速化を施しても研究の主眼である実時間符号化は困難であるため,符号化・復号化の枠組みを,各種国際標準から変更する決断をした.具体的には,分散圧縮符号化の適応に踏み切った.分散圧縮符号化では,符号化側,つまり,カメラ側では画像信号に低ランクのランダム行列を乗じるだけであり,復号化側で画像に存在する冗長性を活用し,高精度に画像を再現する.計算負荷を撮像装置からクラウド環境に多数存在する高性能なサーバーに移行できるため,IoT(Internet of Things)の実現にも寄与すると思われる.平成27年度末より,凸最適化問題の解法の一つであるADMM(Alternating Direction Method for Multipliers)をライトフィールドカメラで得られた多視点画像に適用する方法を検討している.平成28年度は,ある一つのライトフィールドカメラで得られた画像のみに研究対象を絞り,高精度の再現のみでなく,圧縮センシングに必要な辞書学習もADMMで実現することができた.これは,ライトフィールドカメラにおける多視点画像の特徴,つまり,カメラ視点が近い位置に存在し,密な多視点画像を得ることができたためだと思われる.複数のライトフィールドカメラの視差画像にはブロック単位の探索,あるいはエピポーラ幾何を用いた視差補償が必要である.平成28年度末に視差補償(動き補償にも適用可能)にもADMMを用い,少数の復号化済みブロックの線形結合で着目ブロックを高精度に推定する方法を開発している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度までに,ある一つのライトフィールドカメラで得られた画像を,ADMMを用いて分散圧縮符号化する方法を開発している.復号時に必要な辞書もADMMで学習し,K-SVDで生成した辞書と同等の再現PSNRを高速で得ることができた.複数カメラへの適用については,ブロック単位の探索にADMMを適用し,復号化済みブロックの線形結合で着目ブロックを高精度に視差補償する方法を平成28年度末に開発している.研究最終年度である平成29年度はこの視差補償を複数ライトフィールドカメラで得られた多視点画像に適用し,発表する予定である.以上より,最終年度のまとめに向けて,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り,分散圧縮符号化では符号化の処理は極めて単純であるため,本研究課題は実現できたと考えている.分散圧縮符号化は計算負荷を復号側に移行するが,これもGPU(Graphic Processing Unit)で並列処理することにより,高速化できると予想している.近年の機械学習の発展により,クラウドサーバ上で並列処理を行う環境が一般化しつつあるため,復号化の並列処理による高速化も検討したい.あるいは,FPGA(Field-Programmable Gate Array)の低価格化と回路の大規模化が進んでいるため,これを用いて消費電力の低減と並列処理を実現する方法も考えられる.上記2点について検討したい.
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Causes of Carryover |
国際会議の参加費が為替レートに依存するため,その変動を考慮したのが理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
金額は僅かであるため,助成金の使用計画について変更はない.
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