2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00260
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
赤尾 佳則 科学警察研究所, 法科学第四部, 室長 (30356159)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 情報センシング / 筆跡 / 質感 / 複眼画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 筆跡画線の偏角反射特性と筆速との関係:筆跡画線の偏角反射特性と筆速との関連を調査した.筆速が極端に高い場合には,筆圧が高くても画線幅が細くなった.また始筆部では,筆記具の停滞がある場合には,筆圧が弱い場合でも窪み状の痕跡となるなど,筆速との密接な関係がみられることが分かった. 2 自然条件と透写条件の書字運動の比較:透写条件では,自然条件と比べて書字時間が長くなった.筆速について,自然条件では一画(ストローク)の中での速度変化が滑らかであるのに対し,透写条件では,筆速の小刻みな上がり下がりが認められ,滑らかではなかった.筆圧については,透写条件では自然条件と比べて,始筆部から高く,ストローク中での変動が乏しかった. 3 透写筆跡にみられる不自然な点(主観的指標)の調査:透写筆跡を観察した際に,専門家が指摘する不自然な点(主観的指標)を列挙したところ,始筆部や終筆部に筆記具が停滞したと思われる痕跡(例:高いインクの濃度,インクの滞留)がみられること,湾曲した画線の円滑さが低くなることなどが指摘された. 4 主観的指標を反映した透写筆跡検知指標の検討:紙に書かれた筆跡を手がかりとして,透写筆跡の検知に有効な指標を検討した.筆圧に関する情報は,光学的特性(偏角反射特性)と画線の濃度情報を総合して評価することで抽出できることが示唆され,始筆部や終筆部でこれらの指標を測定することにより,透写筆跡の検知に活用できると考えられた.なお,ストロークの途中でみられた筆速の変動については,今回の検討では明らかにできなかった.今後,筆圧条件を増やした実験を行い,検討を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた検討を終え,計画していた実験を完了させ,次年度に取り組むべき課題を明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
筆圧条件を増やした追加実験を行い,筆跡画線の偏角反射特性を解析することにより,これまでに構築したモデルの精緻化を図る.成果を国際学会で発表する.
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Causes of Carryover |
筆跡画線の偏角反射特性を解析し,年度内開催の国際学会で発表する予定であったが,筆圧条件を増やすことにより,より精緻なモデルを構築できることが分かった.さらに翌年度に筆跡解析に特化した国際会議が開催されることが判明し,効果的な成果発表が期待できることから,追加実験と国際学会発表を次年度に行うこととし,未使用額は,その経費に充てる.
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