2015 Fiscal Year Research-status Report
ボリュームディスプレイによる四元数Julia集合の可視化に関する研究
Project/Area Number |
15K00286
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
山本 欧 東京電機大学, 工学部, 教授 (20291700)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ボリュームディスプレイ / 四元数Julia集合 / 等値面 / Marching Cube法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度研究実施計画に基づき,研究代表者の開発したボリュームディスプレイ上での四元数Julia集合の表示実験を中心に,次の①,②の順で研究を実施した. ①数種類の四元数Julia集合を,(1)定義式に基づく発散/収束判定,(2)distance estimation法,(3)inverse iteration法,の各方法で求め,ディスプレイ上での表示を比較した.その結果(1),(2)については,求まる集合が充填Julia集合となるため,ディスプレイ上で光点が集合内部に密集した形で表示されしてしまい,眩輝感により集合の形状観察が困難となることが判明した.また,集合を求める際に要する処理時間は,(1),(2)の間に大きな差はなかった.一方,(3)については,充填Julia集合の表面(すなわち本来のJulia集合)に属する点を漸化式により高速に求めることができるため,ディスプレイ上の表示画像も眩輝感がなく形状観察も(1),(2)に比べ容易であった.しかし(3)の方法ではJulia集合に属する点全てを求めることはできないため,ディスプレイ上で光点の疎密が生じてしまい,本来連続であるJulia集合の表面が,隙間なく均一に並んだ光点からなる膜として表示されず,疎な部分がかすれたようになってしまうことがわかった. ②上記結果より,本ボリュームディスプレイ上での四元数Julia集合の表示は(1),(2)により求めた充填Julia集合の表面のみを取り出し,光点が隙間なく均一に並んだ光の膜として表示することが有効であると判断した.そこでスカラ場の等値面生成で使用されているMarching Cube法に着目し,同方法により充填Julia集合の表面を等値面として取り出すプログラムを作成し,表示実験を行った.その結果,隙間なく均一に並んだ光点の膜で四元数Julia集合が表示されることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,ソフトウェアツールの作成とディスプレイ上での表示実験が主な研究内容であり,ハードウェア開発がなかったため,研究実施計画に記した通りに研究が進展した.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度以降は,3D表示データをUSB3.0経由でディスプレイに転送するハードウェア,およびそれに連携して動作するソフトウェアの開発を行う.このため,平成27年度に比べ,動作検証やデバッグにおいて予期せぬ障害が発生する可能性が高い.対策として,開発環境の整った既製のFPGAボードなどを利用し,ハードウェア周りの開発負担の軽減を試みる予定である.
|
Causes of Carryover |
今年度の支出は,表示データ転送するハードウェア開発に使用するFPGAボードの購入によるものである.他に,研究で使用する3Dディスプレイ装置の補修用機械部品・電子部品の購入のための支出予定があったが,平成27年度中は補修の必要な状況にはならなかったため,次年度使用額が生じた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由より,次年度使用額分は,平成28年度中にディスプレイ装置の補修が必要になった場合に充てる予定である.
|