2016 Fiscal Year Research-status Report
羽田空港への将来の航空交通を評価する航空管制シミュレーション環境の設計
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15K00294
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
伊藤 恵理 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 電子航法研究所, 研究員 (70462893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩川 大輔 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40436100)
金谷 一朗 長崎県立大学, 情報システム学部, 教授 (50314555)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | システムアーキテクチャ設計 / 航空管制科学 / 国際連携 / 社会発信 |
Outline of Annual Research Achievements |
羽田空港の将来の航空交通を評価するために必要な、管制官やパイロットが参加するヒューマンインザループシミュレーション実験の環境について、諸外国の航空管制シミュレーション環境と、保守管理も含めた日本で実行可能な体制を模索した。このために、ドイツ航空宇宙研究所、NASAエイムズ研究所、およびNASAラングレー研究所と共同セミナーを開催し、OSI7層モデルに基づいてシミュレーション層、サービス層、インフラ層に分割し、システムアーキテクチャ設計を分析した。そして、サービス層の設計とその保守におけるコスト削減が重要であり、オランダ航空宇宙研究所とドイツ航空宇宙研究所が開発したNARSIMというシミュレーションエンジンの活用が最も有効であると結論づけた。さらに、羽田空港に導入を検討する新しい運航を評価するためには、4卓のレーダー管制卓のシミュレーターと8名のシミュレーションチームが最小単位であると結論づけた。 そこで、NARSIMを活用した評価実験を想定し、シミュレーション層の設計に移行するため、ドイツ航空宇宙研究所との共同研究契約を締結した(2017年3月)。今後は、ドイツ航空宇宙研究所の研究チームと共同で、新運用のドイツ主要空港および羽田空港への導入を検討するため、シミュレーション層に特化して航空管制シミュレーション環境を構築する。 さらに、さまざまな学術分野を横断して次世代の航空管制システム(人間と自動化システムが協調するシステム)の基盤となる学問を『航空管制科学』と名付け、その成り立ちと研究を社会を書籍『空の旅を科学する 人工知能がひらく!? 21世紀の航空管制』(2016年9月 河出書房新社刊)・インターネット(Web毎日、Wedge、SYNODOSなど)・新聞(毎日新聞, 時事通信社)・講演会(ジェイカレッジ,航空技術協会など)を通して広く社会発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究課題をドイツ航空宇宙研究所との共同研究としたため、航空管制シミュレーション設計について、契約締結(2017年3月)以降に共同で実施する必要が出てきた。これについては、第3年次に継続して実施したい。そのため、今年度は、第3年次に実施予定であった社会発信を前倒しで実施し、さまざまな学術分野を横断する航空管制科学と航空管制シミュレーションについて、広く社会に発信した。
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Strategy for Future Research Activity |
将来の航空管制システムを模擬して評価する実験施設の実現に向けて、学術的な視点から、ドイツ航空宇宙研究所と共同で、発着枠の増大が見込まれるドイツの主要空港および羽田空港への到着機を対象とした航空管制シミュレーション環境を設計する。そのために、ヒューマンファクター、情報科学、認知工学、システム工学、および航空管制科学を応用して、高度なシステムインテグレーションを実現するために分野横断的な研究課題に取り組む。さらに、航空管制システムのみならず、高度に複雑な社会技術系を模擬するシミュレーション環境の設計論の確立に貢献できるよう、引き続き、航空管制科学の幅広い社会還元を行う。
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Causes of Carryover |
当該研究課題をドイツ航空宇宙研究所との共同研究としたため、航空管制シミュレーション設計における詳細は、契約締結(2017年3月)以降に共同で実施する必要が出てきた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ドイツ航空宇宙研究所での共同研究打ち合わせ渡航費用としたい。
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