2017 Fiscal Year Research-status Report
交通流映像とセルオートマトンに基づく新たなドライバモデリング手法の確立
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15K00299
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山崎 啓介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (60376936)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 交通流解析 / セルオートマトン / モデル選択 / 非対称マルチタスク学習 / ベイズクラスタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
交通流を表現する確率セルオートマトンの代表としてTotally Asymmetric Simple Exclusion Process(TASEP)とZero Range Process(ZRP)がある。TASEPは前方のセルに進む確率をパラメータとして持つモデルであり、この確率が平均的な速度を表現する。一方、ZRPは前進確率が前方走行車までのセル数に応じて異なるパラメータとして表現されており、車間距離に応じた速度を表現できる。ZRPはTASEPを含む上位モデルであるが、パラメータが多いためデータからパラメータを推定すると精度が低下する。モデル表現力(パラメータ数)と推定精度はこのようなトレードオフ関係にあるため、データに応じて適切なモデルを選択する必要がある。これは統計学でモデル選択問題と呼ばれる。 本年度は円状サーキットを走行する実車データに関して、ZRPとTASEPのモデル選択を行い、データの分析を行った。具体的にはベイズ統計における周辺尤度を用いて定量的に優位なモデルの選択を行った。データはナゴヤドームでの渋滞形成実験のものを使用した。コース上の車両数が異なるいくつかのデータがあるが、その全てにおいてZRPが選択された。これは車間距離に応じた運転をしていることを統計的に示すものである。車両数が多くなるほどZRPの優位性が大きくなることから、密度の増加に応じて前方車両を意識した運転をすることが示唆された。 上記のモデル選択ではベイズクラスタリングの手法を用いているが、その基礎的な理論において、データセットを追加したときのクラスタリング精度について解析を行った。 さらに車載センサーデータからの情報をZRPに付加してモデル最適化を行う方法についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、TASEPとZRPの比較とモデル選択を行う手法を確立できた。さらに追加情報を有効に用いるための基礎理論を構築できた。
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Strategy for Future Research Activity |
追加データセットを有効に用いる基礎理論を実際のデータ解析に活用する。具体的には車載センサーによるデータを現状のセルオートマトンのモデルにおける最適化に積極的に用いる際に、基礎理論を適用しモデルの精度を向上させる検討を行う。
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Causes of Carryover |
国際会議での成果公表を行ったが、国内で開催されたため。次年度の国際会議参加費として使用する予定。
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