2016 Fiscal Year Research-status Report
パーソナルなセンシングデータも活用するソフトウェアリポジトリマイニング
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15K00318
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 一教 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (40350673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大須賀 昭彦 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90393842)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 視線データ / 着色 / 文書可読性 / アイトラッキング / 類似度 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主として,ソフトウェア文書の性質,ソフトウェア文書閲覧時の読者の視線データ,およびソフトウェア開発の生産性という3種類の特徴に着目する研究を行い,以下のような成果を得た:
(1)ソフトウェア文書中の主要なキーワードを文書作成者が判定する重要度に応じて着色し,作成者の意図の可読性を高めた文書を作成する.このとき,着色する色の選択方法,色の輝度,および着色するキーワード数による可読性の変化について測定を行った.同時に可読性の変化だけではなく,読者の短期記憶に与える影響についても測定した.これらの測定により,着色方法(色と輝度)および着色キーワード数が可読性と短期記憶に与える影響を定量的に示すことができた.また,読解時の視線移動データ(アイトラッキングデータ)の解析により,変化が生じる理由についてもほぼ明らかにすることができた.ただし,年齢などの被験者の条件による違いについては,今後の課題として実験と検討を継続することになった.今年度に得られた結果を応用することにより,読者の特性に応じて効率的なキーワード着色を半自動的に行うことで,文書の可読性の向上によるソフトウェア生産性を向上させる可能性を示すことができた.
(2)ソフトウェア文書に対する読者の理解度について,読解時のアイトラッキングデータから自動的に判定する方法を開発して評価した.同じ目的に対して,昨年度はデータ中から特徴的なパターンを抽出することにより行ったが,今年度はアイトラッキングデータをヒートマップ表示した画像に対する類似度を用いる方法を新たに開発した.このときに類似度判定手法としては,正規圧縮距離を用いる方法を採用したので,事前に類似性判定のための特徴量を定める必要がないという利点を持つ.小規模な検証実験を行って基本的な有効性を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
センシングデータ(今年度は主としてアイトラッキングデータ)にもとづく手法の研究と開発であるが,身体に負担をかけない測定方法(頭部の固定などをしない方式)のために,測定誤差が当初の予想以上に大きく一時的に研究に遅れを生じた.また,個人毎の誤差補正に用いているキャリブレーション手法での誤差も予想以上に大きいことが判明してきた.しかし今年度の中盤以降では,誤差が問題にならない範囲で利用できる手法を見い出すことができたために,年度初期の遅れを取り戻すことができ,当初の計画通りに概ね順調に研究開発を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
身体に装着する各種センサー類の低下価格が進んでいる.本研究においては,従来はスマートフォンに内蔵されている加速度センサー等を用いた技術を利用してきているが,より高性能で身体負荷が少ないセンサーが安価に利用できるようになってきている.来年度では,これらを使うことによって,より詳細なパーソナルデータを収集するようにしていく.これに伴い,当初計画に従って,以下のように研究開発を進めていく:
(1)複数のセンシングデータを用いることで,より高度な判定ができるようにしていく.研究申請時には考慮していなかった技術(例えばディープラーニング)について,比較的手軽に利用できる環境が整ってきたので,その利用も検討していく.その上で,当初の計画に従って,評価実験のバリエーションや規模を増やしていく. (2)上記のような新技術の利用においては,高速な計算処理が必要となってくる.本研究のために平成27年度および28年度に導入したコンピュータ環境では(ハードウェア,ソフトウェアともに),妥当な計算時間での処理が困難になってくると予想される.クラウドコンピューティング環境の利用など新たな高速化手法開発にも取り組み,本研究成果の実用化実証実験にも重点を置いて進めるようにする.
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Causes of Carryover |
身体データ計測用のセンサーについて,性能の良い新製品が次年度早々に安価で発売予定となったため,その購入を次年度に行うことにした.今年度に従来製品を購入して利用するよりも,費用の点で有利であり,性能向上による研究成果向上についても見込めることが認められたため,このように決定した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
身体計測センターおよびサポートソフトウェアについて,繰越金額と次年度予算を合わせて約12万円で購入する.次年度早々に手配予定として進めている.
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