2016 Fiscal Year Research-status Report
中小企業の人づくりに向けた、「失敗からの学び」を促進させるゲーム開発
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15K00319
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 潤 芝浦工業大学, 工学マネジメント研究科, 教授 (80532994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永吉 実武 静岡大学, 情報学部, 講師 (80620616)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 視線計測 / リスク予見 / 組織学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までは、協力企業においてWebベースのアンケートをもとに、失敗から学ぶ組織学習の成功要因を抽出することができ、一定の成果が得られた。本年度はこの成果を主にいくつかの国際学会等で発表を重ね、ジャーナル投稿・採録にも至り、一定の実績を残すことができた。 また、アンケートに加え、視線計測による実験装置の開発に着手した。具体的には、マイクロソフトのkinectおよび視線計機のEYETRIBEを購入し、PC上で動作再生時に被験者の視線と発話音声を記録する機能と備え、視線と発話の履歴をダウンロードし分析できる仕組みを構築し、年度末ぎりぎりのタイミングでプレ実験にこぎつけることができた。尚、EYETRBEはDisconとなってしまったため、IntelのRealsenseを代替機材として再構築したところ、動作確認ができたので、今後は複数被験者を同時に実験を進めてN数を稼ぐためにも、同機材を用いた実験環境を整える準備を終えた。 プレ実験では、協力会社のベテランの方に被験者になってもらい、同実験環境による工事現場の動画を再生し、視聴してもらうことと、その後に動画再生して着目するオブジェクトの理由をインタビュー形式で確認する作業を行った。その結果、例えば、工事現場ではクレーンが表示されたシーンがあっても、ベテランは実はクレーンよりも先に周囲の木の葉の動きをみており、その理由は風の向きと強さから、クレーンが安全な向きで設置されているかを確かめるためとのことが判明。このようなベテランの視線の動きを画面上の位置情報として個別シーン毎に一定の動的モデルとして定義し、のちに非ベテランとの差異を確認していく所存である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度のアンケートの結果を踏まえて、複数の国際学会等で発表し、ジャーナルにも投稿・採択されたこと。 視線計測の実験環境がおおむねその開発が進み、年度末ぎりぎりであったもののプレ実験までこぎつけられたこと。 これまで研究に協力いただいた(株)三技協以外にも、いくつかアンケートに協力いただけそうな中小企業が見つかったこと。
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Strategy for Future Research Activity |
視線計測のプレ実験を踏まえて、ベテラン同士のディスカッションを行うとともに、個別動画シーンごとのモデル化を検討する。そのうえで、非ベテランの方々にも、同じ動画シーンをみていただき、視線計測実験を行い、ベテランとの差異がどのようにでてくるのか分析を試みる。そして、なぜ、差異が生じているのかが明らかになれば、リスク予見、すなわち失敗を防ぐような、これまで反省塾として行ってきた組織学習に加えて、新たな仕組みの構築の手がかりが発見できるのではないか、と考えている。 また、(株)三技協以外の協力企業へのアンケート調査が実施することができれば、失敗から学ぶ組織学習の成功要因の、より汎用性の高い知見を獲得することができるかもしれず、この狙いに照準をあてて研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
視線計測のプレ実験の環境は整えることができたが、本格実験には至っていないため、追加機能実装などが見込まれることが主な要因。また、国際学会等は共同研究者が主に発表したことから、交通費の発生が抑制されたことも要因の一つである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本番環境に向けての仕様を検討し、その内容次第でハードウエア・ソフト開発費用が発生する見込み。また、国際学会含め発表を検討している。また協力いただいている九州工大の方の交通費も発生見込みである。また、アンケートの分析ツールとしてのソフトウエアも購入を検討している。
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