2015 Fiscal Year Research-status Report
樹状突起におけるシナプス間の相互作用を考慮したニューロンモデルの提案と検証
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15K00332
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
唐堂 由其 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (70636927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐 政 富山大学, 大学院理工学研究部(工学), 教授 (90227299)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ニューロンモデル / McCulloch & Pitts モデル / 樹状突起 / シナプスの相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本研究では,①シナプスの多様性とその非線形特性を二つのシナプスパラメーターをもつシグモイド関数で近似し,そのシナプスパラメーターの変化より複雑な非線形シナプス特性:興奮性シナプス;抑制性シナプス;常に1接触及び常に0接触の4つのシナプス状態を作り出すことができた;②本研究では,樹状突起における非線形作用を掛け算とする。そのため,同じ樹状突起の枝にある興奮性シナプスと抑制性シナプスの相互作用(掛け算)により,伝統なMcCulloch & Pittsモデルで実現できないシナプス間の相互作用やシナプス前抑制などを実現できた。同様に,常に1接触は入力から樹状突起の枝に接触していないこと,つまり,この樹状突起の枝へ入力が削除できることと,常に0接触は樹状突起の枝が存在しないこと,つまり,この枝が削除できることをシミュレーションにより実証した。 (2)本研究では,提案のモデルに対し,理論的な解析や計算機シミュレーションなど行い,既存の実験データなどと照らし合わせ,提案のモデルの有効性及び忠実性を確認できた。 (3)本研究では,計算機による解析を市販のニューロンシミュレーションソフトウェア(ニューロンアプリケーションソフトウェア等)から,従来のMcCulloch & Pitts ニューロンモデルにおける空間的加算としきい値作用のみのシミュレータに,非線形シナプスと樹状突起のメカニズムに基づく新しいニューロンモデルシミュレーション用ソフトウェアを自作し,新しいニューロンモデルシミュレーションソフトウェアの開発に成功した。 以上の研究成果を査読つき国際学会誌論文3篇,国際会議論文2篇にまとめ、発表した。その中1篇がBEST POST PAPER AWARDを受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)樹状突起のメカニズムに基づくニューロンモデルの構築について、本研究では,①シナプスの多様性とその非線形特性を二つのシナプスパラメーターをもつシグモイド関数で近似し,そのシナプスパラメーターの変化より複雑な非線形シナプス特性:興奮性シナプス;抑制性シナプス;常に1接触及び常に0接触の4つのシナプス状態を予定通り作り出すことができた;②シナプスの相互作用を論理積から掛け算への置き換えにより、同じ樹状突起の枝にある興奮性シナプスと抑制性シナプスの相互作用(掛け算)やシナプス前抑制などを実現できた。同様に,常に1接触は入力から樹状突起の枝に接触していないこと,つまり,この樹状突起の枝へ入力が削除できることと,常に0接触は樹状突起の枝が存在しないこと,つまり,この枝が削除できることをシミュレーションにより実証した。 (2)ニューロンモデルの理論的な解析と計算機シミュレーション検証においても、本研究では,提案のモデルに対し,理論的な解析や計算機シミュレーションなど行い,既存の実験データなどと照らし合わせ,提案のモデルの有効性及び忠実性を確認できた。 (3)ニューロンシミュレーションソフトウェアの再開発に関して、本研究では,計算機による解析を市販のニューロンシミュレーションソフトウェア(ニューロンアプリケーションソフトウェア等)から,従来のMcCulloch & Pitts ニューロンモデルにおける空間的加算としきい値作用のみのシミュレータに,非線形シナプスと樹状突起のメカニズムに基づく新しいニューロンモデルシミュレーション用ソフトウェアを自作し,新しいニューロンモデルシミュレーションソフトウェアの開発に成功した。 以上の研究成果を査読つき国際学会誌論文6篇にまとめ、発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策等として、 (1)学習アルゴリズムの確立:本提案のモデルでは,連続関数を用いるため,パックプロパゲーショウ学習則が適用できる。更に,シナプスの「可塑性」より,シナプスパラメーターを修正対象として学習を行う。 (2)樹状突起生成過程の計算機上で再現:初期の樹状突起の数や形状やシナプスの結合状態などを任意であることを仮定し,学習によって,不要なものを淘汰し,有用なものを強化固定し,成熟した機能的な樹状突起が自動的に生成する過程を計算機上で再現する。 (3)ニューロンの樹状突起の形状やシナプスの結合状態などの予測:本研究では,提案したモデルを用いて運動方向検出細胞,水平・垂直運動の検出細胞,拡大・縮小運動の検出細胞,時計回り運動の検出細胞を学習によりコンピュータ上で形成し,実際のニューロンの形状を予測する。
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Causes of Carryover |
新型ニューロンモデルに関するプログラムンの作成・検証について、研究分担者である富山大学に依頼した。しかし、富山大学にてプログラムンの作成について予定より遅れ、プログラムンの検証に入ることができなかったため、検証用の経費は残った形になったわけである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に、前年度に終われなかったプログラムンの検証に実行しながら、計画通り研究を進めていく予定である。
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Research Products
(5 results)