2016 Fiscal Year Research-status Report
非同期分岐プロセッサ:人工神経系と人工感覚器の開発のための基盤技術
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15K00352
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
鳥飼 弘幸 京都産業大学, コンピュータ理工学部, 教授 (20318603)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非線形回路 / 非同期順序回路 / 動的再構成回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳などの神経系や蝸牛などの感覚器は非線形システムであり,入力の変化に伴ってシステムの振る舞いが定性的に変化する場合が多い.そのような現象の変化は非線形システムの分岐現象として捉えることが出来る.そのような分岐現象には,標準形と呼ばれる,ある意味においてミニマムな動作方程式が存在する.すなわち,「神経系や感覚器の非線形現象とそれらに由来する機能をVLSI上に再現するためには,神経系や感覚器が呈する様々な種類の分岐現象の標準形を適切に電子回路として再現することが重要」である.一方,私たちの研究グループではこれまでに「非同期分岐プロセッサ」と呼ばれる非線形ベクトル場の効率的なVLSIへの実装方を構築してきた.そこで平成28年度は,以下のようなテーマに取り組み,研究実績を得た.1,27年度には,特定の種の内耳の非線形応答特性を再現するための非同期分岐プロセッサの構成法を提案した.これに対して28年度は,複数の種の内耳の非線形応答特性を再現するために非同期分岐プロセッサの構成法の一般化に取り組み,計算機実験と実機実験の両方において,非同期分岐プロセッサが複数の種の内耳の非線形応答特性を再現できることを示した.2,27年度には,神経細胞の細胞体の膜電位の非線形ベクトル場を効率よく再現するための非同期分岐プロセッサの構成法を提案した.これに対して28年度は,樹状突起の動作を効率よく再現するための非同期分岐プロセッサの構成法を提案し,樹状突起を用いた神経細胞の学習機能を非同期分岐プロセッサを用いて実装した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,非同期分岐プロセッサの構成法の一般化の可能性が示せたため.
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Strategy for Future Research Activity |
28年度までに非同期分岐プロセッサの構成法の一般化に取り組み,成果を得た.そこで29年度は,非同期分岐プロセッサの応用に特に注目し,複雑な学習が可能な神経細胞ネットワークの非同期分岐プロセッサによる実装などに取り組む.
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Causes of Carryover |
実機実験用の機器について,新型機種の発売などによって購入価格が予定額を下回ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度に参加予定の国際会議の宿泊費や渡航費が,当初の予定よりも高額になる見通しであるため,繰越金を活用する.
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