2016 Fiscal Year Research-status Report
ビッグデータ環境下における最適生産計画・スケジューリング研究
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15K00357
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Research Institution | Fuzzy Logic Systems Institute |
Principal Investigator |
玄 光男 一般財団法人ファジィシステム研究所, 研究部, 特別研究員 (20095003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 浩司 京都大学, デザイン学ユニット, 特定教授 (90214600)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 進化算法(EA) / 遺伝的アルゴリズム(GA) / 分布推定アルゴリズム(EDA) / 粒子群最適化(PSO) / 生産計画・スケジューリング / リバースロジスティクス / データマイニング(DM) / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,進化算法の開発と応用研究として,実践的な生産計画スケジューリングと不確実環境下のスケジューリング問題を開発する事で,平成28年度研究実績の概要は次の通りである. 1. 先端的進化算法の開発II: ハイブリッドサンプリング戦略(HSS)ベースの多目的進化算法(MoEA)に差分進化(DE)法を融合したHSS-MoEA-DEは昨年10月の国際会議で発表し,今年3月にハイブリッド型進化算法と多目的生産スケジューリングに関する総括の論文を国際誌に掲載した. 2. 生産計画・スケジューリング問題への応用研究II: 半導体デバイス,HDDや液晶ディスプレイ等の生産や半導体素子最終検査等のスケジューリング問題では,それぞれ適合した進化算法にファジィロジック機能を融合した応用研究を国際会議で招待講演等を行った.生産・物流システムの製造・配送過程で発生する各種資源の不確実的要因を伴う不確定スケジューリング問題への応用研究では,それぞれの問題に適合したハイブリッド型進化算法の活用を提案した. 3.物流配送・ルーチング問題への応用研究I: 近年の環境保護,企業価値創出,競争力を高めるためのリサイクルとしてリーバスロジスティクス問題が注目されている.再使用,再生産,リサイクリングの3種類のネットワークモデルを統合したリバースロジスティクスの事例研究に進化算法を活用した論文を掲載した. なお,進化算法EDAによる半導体生産の実践的なスケジューリング問題への応用研究に関して,IEEE Trans. on Semicon. Manufac.に掲載した論文(28巻, 3号, 353-366)が,2015年に掲載された140編の中からIEEE T-SM 2015 Best Paper Awardを昨年5月に受賞した(同論文と賞状は財)ファジィシステム研究所ウェブサイドに公開中).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 半導体デバイス,ハードディスク(HDD)等の生産スケジューリング問題は,一般に多目的数理計画モデルで定式化され,綿密で複雑な実時間スケジュールリング環境では制御時間の制約が1~3分,素子に依っては5分以内に限定された最良な生産スケジュールが要求される.そこで,従来の多目的進化算法HSS-MoEAの進化過程を強力に推進させるために差分算法(DE)を融合したHSS-MoEA-DEを活用して,生産スケジューリング問題のベンチマークで従来の標準的な進化算法NSGA-II, SPEA2, HSS-MoEAとの比較実験を行い,良い結果を実証し国際会議で発表した. 2. 一般にフレキシブル・ジョブショップ・スケジューリング問題(FJSP)は数々の生産スケジューリング問題の基本形になっている.例えば,HDDや液晶ディスプレイ等のデバイスのリエントラント型生産スケジューリングは,まさしくFJSPモデルの拡張版である。そこで,各種資源が不確実的要因を伴うFJSP問題への応用研究をその問題に適合したハイブリッド型進化算法(協調ベイジアン型)を提案・報告した. 3. 本研究で開発した先端的進化算法を,生産スケジューリング問題における代表的なモデル,例えば組立てラインバシグ(ALB), 先進的スケジューリング問題(APS),資源制約付きプロジェクト・スケジューリング(RcPSP)への応用研究を継続して他の進化算法との比較実験を行い,国内外の学会で発表した.これまでに発表した発表した研究成果を国際誌掲載に向けで投稿準備中である. 本研究に関しては,交付申請に記載した『研究の目的」に対する本年度までの進捗状況は,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に得られて研究成果を基にして,平成29年度以降は次のような研究計画を実施する。 1. 先端的進化算法の開発III:生産スケジューリング問題の多くの数学モデルは,多目的数理計画モデルで定式化される事例が普通である.そこで,多目的進化算法としてHSS-MoEA-DEや協調ベイジアン型の進化算法を改善して,典型的な生産スケジューリング諸問題で数値実験を行い,その結果を分析して各モデルの特徴を反映した先端的進化算法の有効性を実証し提案する.更に,国際誌への投稿を準備する. 2. 生産計画・スケジューリング問題への応用研究III: 生産・物流システムの製造・配送過程で発生する不確実的要因を確率分布で表わし,数理計画モデルを定式化し,先端型進化計法による実践的な応用研究を進める.不確実環境下の動的スケジューリング問題やリーバスロジスティクス問題等を解くために, 多目的進化算法 HSS-MoEA-DEや協調ベイジアン型進化算法等を活用して,各問題の特徴に適合した先端的進化算法の有効性を比較実験で実証し提案する.更に,国際誌への投稿を準備する. 3. 進化算法とデータマイニングの融合化: 大量のデータから有用かつ貴重な情報や知識を如何に抽出するためには,データ解析や進化算法を活用したデータマイニング技術が要求される。多目的進化算法(MoEA)やハイブリッド型(HPSO)等を活用し,大量の顧客データベースと資材管理データから生産スケジューリングに関する知識発見をモデル化し,効率的な生産予測モデルが構築できる先端的進化算法の確立を試みる.
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Causes of Carryover |
当該年度に計画していた研究成果の発表を, 次年度の国際学会で行うことにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年12月開催のAFOR-2017国際学会に出席するための旅費に使用する。
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