2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00369
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
小枝 正直 大阪電気通信大学, 総合情報学部, 准教授 (10411232)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ヒューマノイドロボット / 摺足制御 / 摺胴制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般にロボットに期待される危険地帯での作業や家庭内でのタスクなどは,狭隘領域における劣姿勢移動が大多数を占める.そこで我々はヒューマノイドロボットによる超狭隘領域・劣姿勢移動を実現するために,過去数年の間,摺足による移動について研究を継続してきた.この摺足移動を応用して平臥姿勢での自由移動(摺胴移動)の実現を目指している.具体的には,平臥位・腹臥位における胴体の摺動による基本動作(並進・回転)の実現,床面摩擦や床面形状,瓦礫形状などに適応した移動制御の実現を目指している.また,劣姿勢度合いの評価式や支持多角形,ZMP(Zero Moment Point)の考えを応用して,摺足・摺胴移動の運動性や安定性に定量化できる評価式を新たに定義して移動の制御に利用することを考えている.本研究はヒューマノイドロボットの摺足・摺胴の制御が主目的であり,等身大のヒューマノイドロボットを使用する必要はなく,小型のヒューマノイドロボットで実験,評価は可能である. そのため2016年度は,小型ヒューマノイドロボットRobovie-X Proを用いて平臥姿勢における摺胴移動を実機により実現,検証した.また平臥位での接地面の角度により移動量が異なることを発見し,効率的に移動するためには適切な制御が必要であることを示した.さらに足裏の力センサ情報の取得および処理と得られたセンサ情報をもとにしたリアルタイムフィードバック制御を行うために,小型ヒューマノイドロボットKHR-3HVをベースとした制御システムを構築した.制御用の計算機をraspberry piに換装してC++言語での制御プログラムの記述を可能とした.また各足裏の四隅に配置した1軸感圧センサの情報をraspberry piに取り込んでZMPを算出し,ZMPを規範とした摺足移動制御を実現した.これにより従来より安定した摺足移動が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の2016年度の研究計画では,1.人の摺胴計測と摺胴モデルの構築,2.摺胴移動の分類,3.状況に応じた摺胴移動のための環境認識,の3つの項目をを挙げていた.1の1つ目,人の摺胴計測については,現在のところ全く手を付けられていない.当初の予定では人の動作計測は重要な項目と考えていた.しかしながら本研究においては,そもそも人の動作を真似る必要性が低いため,本項目の重要性はあまりないと判断した.本項目においては来年度も実施の可能性は低い.1の2つめ,摺胴モデルの構築については,摺足移動モデルと同様の動作を摺胴移動に適応し,可能であることが実験的に示された.2の摺胴移動の分類であるが,我々が特に注目している両脚を同時にハの字で動作させる摺足移動方法において,移動中の足裏荷重位置の切り替えに関して,昨年度末に興味深い考察がなされた.現在,検証を進めているところで対外的には未発表であるが,この考察は摺胴にも応用可能であり,今後,詳細を詰めて,理論体系を確立して発展させ,早い段階で対外的に発表する予定である.3の状況に応じた摺胴移動のための環境認識であるが,現在,環境を3次元的に高精度に認識するためのセンサを作成中である.市販されているLIDERは高価なため,今回の予算規模では到底購入はできない.そのため,現有の小型のレーザレンジファインダ(北陽電機URG-04LX)をスリップリングを経由してモータに接続して回転させ,エンコーダで回転角度を読み取ることで,全周の3次元データを取得する.エンコーダにはPCにUSB接続できて容易にカウントできるgriffin powermateを利用している.分解能が若干低いが,本研究で実施する実験環境においては十分と考えている.現状では仮組みが完了しており,回転中にスキャンデータを読み取ることは可能であるが,エンコーダのデータとの合成が未完である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の2017年度の研究計画では,1.災害地を模した環境での適応的摺胴移動,2.成果のまとめ,を挙げていた. まず1については,研究室内での実験環境の構築と,環境の認識が必要となる.前者については,構成のしやすさや安全性,入手性を考慮して,発泡スチロール製ブロックや木製の積み木などを用いて構築する予定である.後者については,前述の3次元距離センサを早急に完成させて利用する予定である.具体的には,環境の3次元データの取得,3次元データを用いてロボットがすり抜けることが可能な隙間の探索,その隙間へのアプローチ,摺足または摺胴移動による隙間のすり抜け,という実験手順を考えている. 2については,これまでの研究成果を発展させた内容をまず国内および国際会議で発表し,さらに発展させて論文誌への投稿を考えている. これら以外に当初の予定には無かったが,まず前述の摺足移動中の足裏荷重位置の切り替えに関する考察について取り組みたいと考えている. この考察はこれまで取り組んできた摺足移動にとって重要度が非常に高く,新規性があると思われるためである.また摺胴移動への応用も考えられる.すでに一部の内容は,国際会議19th International Conference on Human-Computer Interaction (HCII2017)に投稿し,査読の結果,採択され,2017年7月に発表することが決定している.実機でのセンサフィードバック制御は再現性の確保が困難なため,まずはシミュレータを用いて様々な条件で実験を行い,実現可能性を検証しようと考えている.シミュレータには,ヒューマノイドロボットの扱いを得意としており,これまでの実績と性能および扱いやすさなど総合的に判断して,choreonoidを用いる予定である.最終的には実機を用いた検証実験も行う予定である.
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