2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K00378
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
川野 道宏 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00404905)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 内的動機づけ / 主体感 / 自己効力感 / 自己決定感 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
意欲(内的動機づけ)がリハビリテーション効果に与える影響を検討する際,自己効力感,自己決定感,自己主体感といった主観に着目することは,内的動機づけという心的現象をさらに掘り下げ焦点化できるため,複雑なメカニズムの一端にメスを入れるという点において有効である.しかしながら,リハビリテーションを必要とする患者は,主観や動機づけの生起に関連する脳部位の損傷や,思い通りに体を動かすことができないなどの負の体験など,これら主観を減弱させられる要因が多く存在し,リハビリテーションの効果にネガティブな影響を受けていることが考えられる.そこで,実際に臨床現場にてリハビリテーションを目的に臨床施設に通院または入院されている患者の自己決定感・主体感・自己効力感といった主観と内的動機づけ(回復意欲)についてアンケート用紙にて調査を行い,さらに日常の訓練参加状況や活動状況との関連を分析することを目的とし,患者の内的動機づけと自己決定感・自己効力感・自己主体感との関連,およびこれらの主観がADL自立度に与える影響を検討するための準備を行った. また,先行研究により同定されている主観と内的動機づけに関連する脳部位の活動状況や相互作用を,運動課題の実施とその評価を通して分析するために,脳機能画像解析を主とした実験計画を立案し,環境を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の予備調査により得られた「リハビリテーション意欲を維持するためのキーワード」である「主体感」「自己効力感」と,「意欲(内的動機づけ)」との関連を検討するため,先行研究をもとに自記式調査用紙を作成した.さらに,近年の研究において「自己決定感」と運動学習効果との正の相関が示唆されていることから,実際の臨床現場にてリハビリテーションを受ける患者の「自己決定感」の程度と「意欲(内的動機づけ)」の関係,およびADL自立度に与える影響も合わせて検討するための質問紙を作成した.調査場所を中規模リハビリテーション専門病院とし,倫理申請および施設利用申請書を提出中である. また,臨床調査研究と合わせて脳機能画像解析を実施するため,高磁場環境にて運動課題を視覚提示できるBOLD screen for fMRI (Cambridge Research System社)を導入し,実験環境の構築を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究は,今後,対象者の選定(30~40名程度)を行った後に調査を実施し(平成29年度5月~8月),それぞれの主観と内的動機づけ・ADL自立度との関係を検証するために重回帰分析およびパス解析を進めていく.また10月より,それと並行し「主体感」「自己決定感」に関する脳部位の活動と運動学習効果との関連を検討するために,健康成人20名程度に対してfMRIを用いた脳機能画像解析を進めていく.
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Causes of Carryover |
当初,平成28年度に計画していた調査研究と実験研究が平成29年度へと移行したため,それに伴う備品費,消耗品費,被験者への報償費が次年度に持ち越された.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査研究および実験研究にかかる備品費,消耗品費,被験者への報償費および学会での発表や論文投稿費として使用する.
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