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2017 Fiscal Year Research-status Report

共感と自己・他者理解:音楽脳ネットワークのイメージング研究

Research Project

Project/Area Number 15K00380
Research InstitutionSophia University

Principal Investigator

田中 昌司  上智大学, 理工学部, 教授 (30188304)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2020-03-31
Keywords音楽 / 演奏 / 感情 / 社会認知 / 脳内ネットワーク / イメージ
Outline of Annual Research Achievements

本年度は予定していた多くの実験が成果をもたらした。その中で最も価値が高い(他に研究例がなく、かつ学術的に意義深い)と考えられるのは、イメージ演奏時の脳内ネットワークの解析である。安静時と比べて、イメージ演奏時の補足運動野のネットワークは、後部・下部頭頂葉、後頭葉(視覚野)、後部側頭葉、前頭極(前頭葉の先端部)、感覚運動野、小脳との結合が有意に強かった。補足運動野の機能によれば、このネットワークは運動(演奏)プランニングを行うネットワークであると考えられる。感覚運動野と小脳との結合が強くなるのは運動制御と結びつけるため、高次視覚野、後部頭頂葉、後部側頭葉との結合強度の増加は、視覚、空間、社会認知などの情報の統合を行うため、前頭極との結合強度の増加は意思決定などのメンタルな働きが関わるためであると推測される。したがって、イメージ演奏時に強化される補足運動野の機能ネットワークは、運動制御(運動イメージ)の他に認知・感覚統合や演奏遂行のためのメンタルな働きをも含む高次なプロセスを担うと考えられる。
上記以外に、聴覚野と運動野の結合が、従来考えられていた直接結合ではなくて、operculumを介する結合が音楽には重要であることを示唆する研究結果が得られた。これは音楽家と非音楽家の機能的結合の比較によって得られた結果である。音楽家の方が、operculumを介する聴覚野と運動野の機能的結合が強くなっていた。この違いは、長期にわたる音楽トレーニングによるものであると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度に予定していた機能的結合(functional connectivity)解析を行うことができた。今後さらに実験データを蓄積して、信頼性の高い機能的結合解析を進める。この解析は、VBM による局所体積比較の結果と合わせることによって、より深い解釈が可能になる。現在、両社の結果を統合した解釈・意味づけを試みている。その中のひとつである皮質・線条体ネットワークは手続き記憶の主要ネットワークであり、楽器演奏においても重要な働きをすると考えられる。音大生のこのネットワークは、一般大生のそれと比べて規模は縮小しているが、演奏に関連すると考えられる部位との結合が強くなっていた。長期の音楽トレーニングによって、取捨選択と(必要な結合の)強化が行われたものと解釈できる。
本年度のもうひとつの研究であるprecuneusの機能的結合解析についても、予定通り終えた。
来年度に予定していたそれ以外の機能的結合解析も、本年度中に始めている。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の重要な課題として、イメージ演奏中の脳内ネットワーク解析を引き続き行う予定である。MRIの中で実際の演奏は不可能であるが、心の中で演奏をイメージすることで、脳のどのようなネットワークを使うかということが明らかになり、演奏の脳内メカニズムを知ることができると期待される。本年度は演奏プランニングを担うと考えられるネットワークを中心に解析した。現在、もうひとつのネットワークである、心的イメージとメンタライジングのネットワークの解析を行っている。このネットワークは演奏プランニングを担うと考えられるネットワークとは別のネットワークであり、並行してはたらくことが推測される。両ネットワークは安静時には相反関係にあるが、イメージ演奏時には切り離されることが確認できた。今後はより大規模なネットワーク解析が必要になるだろう。来年度以降はそのための準備も進めつつ、さらに深い実験データの解析を行う予定である。機械学習など人工知能分野で用いられる解析手法も積極的に取り入れて、新たな研究の展開を図る。

Causes of Carryover

計画通りにほぼ進められたが予定より支出が若干少なく、628円の未使用額が生じた。

  • Research Products

    (6 results)

All 2018 2017

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 3 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] The parietal opercular auditory-sensorimotor network in musicians: A resting-state fMRI study2018

    • Author(s)
      Tanaka Shoji、Kirino Eiji
    • Journal Title

      Brain and Cognition

      Volume: 120 Pages: 43~47

    • DOI

      10.1016/j.bandc.2017.11.001

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Reorganization of the thalamocortical network in musicians2017

    • Author(s)
      Shoji Tanaka, Eiji Kirino
    • Journal Title

      Brain Research

      Volume: 1664 Pages: 48-54

    • DOI

      10.1016/j.brainres.2017.03.027

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Dynamic Reconfiguration of the Supplementary Motor Area Network during Imagined Music Performance2017

    • Author(s)
      Shoji Tanaka, Eiji Kirino
    • Journal Title

      Frontiers in Human Neuroscience

      Volume: 11 Pages: 1-11

    • DOI

      10.3389/fnhum.2017.00606

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] イメージ演奏時の脳内ネットワーク2017

    • Author(s)
      田中 昌司
    • Organizer
      日本音楽表現学会
  • [Presentation] Diffusion imaging study of musicians' brain2017

    • Author(s)
      Tanaka S, Kamikawaji R, Takeda E, Yamamoto T, Yoshizawa Y
    • Organizer
      Japan Neuroscience Society
  • [Presentation] Diffusion imaging study of the inferior fronto-occipital fasciculus (IFOF): association with social communication abilities2017

    • Author(s)
      Sekido H, Tanaka S
    • Organizer
      Japan Neuroscience Society

URL: 

Published: 2018-12-17  

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