2017 Fiscal Year Research-status Report
コミュニケーション中の表情フィードバック操作による感情誘導
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15K00383
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
仁科 繁明 早稲田大学, 理工学術院, 客員上級研究員(研究院客員教授) (60395126)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コミュニケーション / 表情知覚 / コンピュータビジョン |
Outline of Annual Research Achievements |
人と人とが対面しコミュニケーションを行う時、言語情報だけでなく視覚的に得られる表情等の情報も同時に伝達され、言語情報を補うように機能している。本研究は、対面コミュニケーションの状況下で、表情等の視覚的情報を操作することによってコミュニケーション中の感情状態を変化させる技術を構築すると同時に、その技術を用いてコミュニケーションにおける人間の感情表出と感情認識の役割を実験的に調査することを目的とする。具体的には、(1)画像処理による自然かつリアルタイムな表情変調技術の開発、(2)感情表出者への表情フィードバックを操作することによる感情誘導技術の確立とその背景となるメカニズムの理解、(3)上記要素技術を用いたコミュニケーションを促進あるいは変調するシステムの構築を進めている。 本年度までに、画像処理によるリアルタイムの表情変調について基本的なシステムを構築した。近年の画像処理技術の進歩によりリアルタイムの表情変調についてもいくつかの異なる技術を採用することでより自然な変調が達成できる可能性がでてきた。本研究課題ではコミュニケーションに対する影響を調べることを目的としているため、本年度はそれらの技術の評価を並行して行った。表情変調による話者感情認識への効果についての心理的手法を用いた調査では、主観的には区別できない程度の微小な表情変調による感情印象への影響について、静的映像と動的映像を含む異なる映像表示条件下での効果を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題内で構築中の表情変調システムの改善を継続して実施した。また公開されている他の手法を用いた表情変調を評価し、コミュニケーション中の感情誘導を目的とした時により適切な方法を検討した。このために予定より若干進捗の遅れが生じたが、全体の計画への影響は最小である。現在実験のために最適な手法の評価を継続して行いながら、基礎データの収集を行っている。これまでに、微小な表情変調によってユーザーの感情印象に影響を与えることができること、コミュニケーション中の表情変調が実施可能であることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、表情変調の手法を実験のためのツールとして安定な状態にした上で、コミュニケーション事態での効果についての実験を行い、コミュニケーション中の表情認識及び表情生成に関する仮説の検証を進める。現在のシステムは実験用に構築しているが、通常のビデオチャットアプリケーションのように使用できるソフトウェアとして引き続き開発を進める。これにより、クラウドソーシングなどを用いたデータ収集を行うことも可能になるため、実施を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度においては導入済の計算機を用いて表情変調システムの改善及び類似技術の評価を行ったため新たな研究費支出を生じなかった。構築したシステムを用いた評価実験を行うため、次年度においては評価のための計測装置及び解析に必要な計算機等を購入する予定である。
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