2016 Fiscal Year Research-status Report
やる気・意欲の可視化・数値化に関する研究(若者のモラトリアム脱却に向けて)
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15K00388
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
大西 厳 広島国際大学, 心理科学部, 准教授 (40290803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒生 弘史 大正大学, 心理社会学部, 准教授 (10334640)
浅野 裕俊 香川大学, 工学部, 講師 (70453488)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 感性生活工学 / 注視線計測 / 定量評価 / 集中レベル / モデル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「やる気・意欲の可視化・数値化に関する研究(若者のモラトリアム脱却に向けて)」を遂行するにあたり、平成27年度に引き続き、やる気・意欲と密接な関係を持つ生理指標の獲得および特徴量の抽出をおこなった。平成28年度において申請者らは、注視線計測システムを用いることにより、非接触・非拘束の状態で被験者に似顔絵を描いてもらう実験をおこない、似顔絵の上手な人と下手な人との特徴およびその差異の抽出を詳細に分析した。その結果、似顔絵の上手な人は下手な人と比べて、描画対象モデルを十分に観察しながら描くことや、輪郭および顔構成パーツの特徴やそれらの相対的位置関係を獲得し模写の要領で少しずつ確認・修正しながら描くことを、描画視線率および1分当たりの視線移動回数で数値化して示すことに成功した。また、似顔絵の下手な人は、描画時の注意力が散漫になり、集中力が欠損する傾向があることや、モデルの輪郭や左髪のハネなど見落としている特徴が多いことを可視化して示した。これらの成果は「注視点計測による似顔絵を上手に描くための特徴量抽出」大西厳,柏尾俊樹,依藤周,河内綾香,正司強,日本感性工学会論文誌, vol.15, No.4, pp.553-561,(2016.8).において公表している。また、視線と同時にサーモグラフィーを用いて被験者の鼻部表面温度を測定することによって、似顔絵描画時の集中レベルの時間変化および作業要素によるストレスの変化を数値化・可視化できる可能性を示唆した。この成果は「鼻部表面温度計測による似顔絵描画時の集中レベルの検討」大西厳,河内綾香,依藤周,荒生弘史,浅野裕俊,第12回日本感性工学会春季大会・上田安子服飾専門学校,(2017.3).において発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、遅れ気味であった実験による被験者からの生体情報および主観評価データの獲得がほぼ終了し、そのデータ解析を実施している。研究分担者の生体情報解析用計算機の不具合などが発生しているが、平成28年度に実施予定であったデータ分析に着手することができた。まだ分析の途中ではあるものの集中レベルや意欲を数値化するために、1分当たりの視線移動回数や描画視線率が有効であることを示した。さらには、サーモグラフィーを用いて鼻部表面温度を同時計測することにより、作業時の緊張レベルや集中度合いを評価できる可能性も示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度において、集中レベルや意欲を数値化するために、1分当たりの視線移動回数や描画視線率が有効であることを示し、さらにはサーモグラフィーによる鼻部表面温度を同時計測することにより、作業時の緊張レベルや集中度合いが評価できる可能性を示唆した。平成29年度は、これらの生体情報からより詳細なやる気および意欲の度合いを数値化・可視化し、やる気・意欲の評価指標を確立する。さらに、被験者にどのようなサポートをすれば、やる気・意欲レベルが向上するのかを解析する予定である。
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Causes of Carryover |
浅野裕俊(香川大学・研究分担者)の生体情報解析用計算機に不具合が発生し、その修理費用が平成28年度中に見積ることができなかったため、次年度の使用額がプラスになってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、やる気および意欲を数値化・可視化するための解析・シミュレーション用消耗品費用に組み入れる計画である。
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Research Products
(6 results)