2017 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病コントロールのための膵臓の階層数理モデル構築とそのシミュレーション
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15K00396
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
真原 仁 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00589830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 伸輔 千葉大学, 予防医学センター, 教授 (20268551)
雨宮 隆 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60344149)
櫻井 建成 山口芸術短期大学, 芸術表現学科, 准教授 (60353322)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インスリン / 糖尿病 / フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、細胞集団の振る舞いの数値計算をおこなった。そこで、細胞集団の大域的な振る舞いが、インスリンの分泌によりどのように変化してゆくかが次のテーマになった。しかしながらこの数理モデルは、インスリンの分泌に関する項が入っていない。 そこで、インスリン分泌の項をいれる作業をおこなってきた。最終的には、インスリンの分泌により全身のグルコース濃度が変化する項を入れた。この項は、インスリン分泌が起こることにより、肝臓や脂肪などがグルコースをとりいれる効果があるということを一つのパラメータとしてまとめてしまいベータ細胞に取り入れられるグルコースの量が変化するというものである。以前のモデルでは、ベータ細胞に流入するグルコースの量も一定であったので、食事をした場合などのイレギュラーな環境の変化に対応するモデルではなかった。このモデルにより、食事によりインスリン分泌が起こり血中グルコースの値が落ち着くまでの長期的な振る舞いの数値計算が可能になってゆくものと考えられる。これにより、短い時間のベータ細胞や細胞集団の振る舞いの安定性だけ、食事や投薬によるグルコース濃度の変化に対応できる数理モデルの構築の可能性が出てきた。この数理モデルは、ベータ細胞と全身の関係という当初の目的である階層性を考慮した数理モデルに一歩前進したといえる。 残念ながら、この数理モデルを構築した時点で年度が終了してしまい、シミュレーションの結果をまとめるには至らなかった。 このモデルをさらに発展するために、ベータ細胞の死滅のメカニズムについて論文調査を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年の研究によって得られた、細胞集団の振る舞いの結果を受け、本来の研究であるベータ細胞の死滅によるベータ細胞死滅の効果を数理モデルに入れるための議論を共同研究者と重ねてきた。この議論が、思うように進まなかったことが原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
ベータ細胞がアポトーシスなどによって死滅するメカニズムが実験の論文によりわかってきているので、そのメカニズムをこれまで行ってきたモデルに取り入れる。 年度当初は、この死滅のメカニズムに関して論文の精査作業を行う。この後、この死滅メカニズムを数理モデルに取り入れてゆく。 ただし、この数理モデルを直接計算しベータ細胞を疲弊させずなるべく膵臓が長持ちするような投薬頻度のヒントになるような結果を得るためには、長期的な計算時間が必要と考えられる。そこで、このモデルを時間的に短縮した数理モデルを構築することが可能かどうかを精査してゆく。
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Causes of Carryover |
本年度は、共同研究者が異動したこともあり数理モデルの構築で終わってしまった。発表の機会もなく、十分な議論が共同研究者間でなされていないため次年度に繰り越した。 次年度は、月に一度を目安に共同研究者を招聘し、シミュレーションの議論を行うことととした。このための旅費として残額を使用する予定である。
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