2015 Fiscal Year Research-status Report
大規模がんゲノム変異データマイニングのための統計的手法の開発
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15K00398
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 友一 東京大学, 医科学研究所, 助教 (70516880)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | がんゲノム / 統計モデル / トピックモデル / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、がんにおける変異には、がん種ごとに特徴的なパターンが見られることが知られていた(喫煙歴のある肺がんにおけるC>Aの変異、皮膚がんにおけるC>T, CC>TTの変異)。近年のシークエンス技術の発達により、がんゲノムから得られる膨大な変異データを収集することが可能になり、変異のパターンをマイニングにより、がんの原因を探ることや、新しい発がん物質の発見につながることが期待されている。
これまでに、申請者はがんゲノムシークエンス解析から得られる変異データから、特徴的なパターンを抽出するための新たな情報学的・統計学的手法を開発していたが、本年度は、特にそれを実装したソフトウェア、pmsignatureの開発に従事した(https:/github.com/friend1ws/pmsignature)。さらに、多くのユーザーが円滑な利用を促進するために、Rプログラムをもとに、比較的簡単にウェブアプリケーションを開発するためのプラットフォームである、Shiny(http://shiny.rstudio.com)を利用して、ウェブアプリケーションの開発を行い公開した(https://friend1ws.shinyapps.io/pmsignature_shiny/)。さらに、提案手法と、大量のがんゲノムデータへの適用を通じて得られた新規生物学的知見をまとめ、国際学術誌PLoS Geneticsに成果を発表した。
今後、点変異だけではなく、挿入・欠失、2塩基置換変異、構造変異など様々な変異を統計モデルに組み込んだ手法の開発を進めることが必要になるが、その準備として、現在は構造変異を感度よく正確に検出する新たな方法論であるGenomonSV(https://github.com/Genomon-Project/GenomonSV)を開発、評価中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、良かった点としては、提案手法をまとめた成果を無事国際学術誌において発表できたことである。この際に、レビュアーから高い評価を頂くことができ、スムーズに採択された。さらに、開発した手法も世界中から多く問い合わせが来ており、定期的にアクセスがあり、多くの研究者が興味を持っていることがわかる。また、構造変異を同定する新たな方法論、ソフトウェアの開発も順調に進展している。
改善点としては、次年度は、pmsignatureにおけるパラメータの最適化手法の改善に着手する予定であったが、文献調査、簡単な予備実験はしたものの、まだはっきりとした結果は出ておらず、今年度の課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はまず、現在開発中のゲノム構造変異を高感度かつ正確に検出する新たな方法論、GenomonSVの改良、評価を行う。ここでは特に実験設備を有する生物学系の研究者との共同研究により、検出した変異の正当性の検証にも力を入れる。さらに、検出した構造変異において、結合部における配列のパターン、繰り返し配列の有無、種々のゲノム機能情報などに、どのようなパターンが見られるか?についての検証を行う。ここで得られた観察に基づいて、構造変異のパターン分類をする方法論の開発も目指す。
また、今年度に十分に従事できなかった、最適化手法の改善についても取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
ウェブアプリケーションの公開の際に、高価なサーバーソフトウェアではなくて、RStudioが提供しているサーバースペース、shinyapps.io(http://www.shinyapps.io)の利用により、想定よりも物品費を安く抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿の際の英文校閲などの利用を検討している。
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Research Products
(6 results)