2015 Fiscal Year Research-status Report
機能未知スプライシングアイソフォームの機能部位予測法の開発
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15K00411
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
塩生 真史 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (30345847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土方 敦司 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, プロジェクト特任講師 (80415273)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 選択的スプライシング / 機能未知タンパク質 / 機能部位予測 / 低分子化合物 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
データベースに登録されているヒトのスプライシングアイソフォーム(SI)の大多数は、機能を持つかどうかが実験により調べられていない。また多くのSIで、機能部位の欠如や立体構造の不安定化が示されている。そこで、機能未知SIが生体内で機能を持つかどうかを推定し、機能部位が欠如したり立体構造が不安定化するにも関わらず機能を持つと推定されたものについては、それらの機能部位および結合する低分子を推定する方法を開発することを目的として、平成27年度は以下のことを行った。 1. これまでに開発してきた機能未知SIの機能性推定法を高精度化するために必要となる機能既知SIのデータを、公共データベースおよび実験による機能解析の文献から、延べ400以上収集した。また、これまでの機能性推定法で用いていた発現情報の解析手順を見直し、偽陰性率を約10%程度低下させることができた。さらに、SIの発現解析の結果を選択的スプライシングのデータベースであるAS-ALPSに反映させた。 2. これまでに開発してきた低分子結合部位予測法において、低分子グループの作成方法を見直し、119種類の低分子について結合部位を予測できるようにした。また、この解析結果を低分子化合物データベースであるHet-PDB Navi.に反映させ、さらにユーザーインターフェースの大幅な改良を施してHet-PDB Navi2として新たに公開した。 3. 数万人規模の健常人全エクソンバリアントデータベースであるExACからバリアントデータをダウンロードし、すでに構築しているMutation@A Glanceのリレーショナルデータベースに格納した。これら1塩基バリアントのデータを、タンパク質をコードするヒトRefSeqの配列上にマッピングし、立体構造および機能部位との比較を可能とするシステムの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能未知SIの機能性推定法の高精度化については、SIの機能情報収集が終了し、機能性推定法の精度も向上させることができている。また、低分子結合部位予測の高精度化については、個別の低分子種の予測精度は期待しているほど上昇はしていないものの、これまでよりも多くの低分子種の結合部位を予測できるようになっており、どの低分子種が結合するかを予測するための準備は整っている。最後に、SNVと機能部位との関係の解析については、システム構築が終了し、SNVと機能部位との関係をスコア化する準備ができている。以上のことから、総合的に判断して、概ね計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
機能未知SIの機能性推定法の高精度化においては、平成27年度に機能情報を収集したSIに基づいて機械学習を行う。ただし、機能情報を収集できたSIには「機能を失う」と確認できたものが数例しかなかったため、ミススプライシングにより生じうるSIを人為的に作成して、機能性のないSIの代わりに用いる。また、低分子結合部位予測の高精度化については、個別の低分子種の予測精度の向上をさらに目指すと同時に、低分子種を化学的類似性からグループ化し、低分子グループごとに結合の有無を予測するための方法を機械学習を用いて開発する。SNVと機能部位との関係については、平成27年度に構築したシステムを用いて、各バリアントの立体構造および機能部位における特徴をスコア化する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、雇用を予定していた研究協力者の専門分野である機械学習についての情報収集も行う予定だったが、その雇用が困難となった。他の研究協力者を雇用し資料収集を行ったが、予定していた雇用時間よりもかなり短くなった。これにより次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に雇用できなかった研究協力者を平成28年度は雇用できることになったため、SIの機能性推定を行う機械学習のためのデータ収集を行う謝金として使用する予定である。
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