2015 Fiscal Year Research-status Report
レスキュー活動支援のための移動体遠隔監視無線システムの開発
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15K00441
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
立野 繁之 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (70243897)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | ワイヤレスセンサー / ZigBee / レスキュー活動 / 遠隔監視 / 位置推定 / 行動推定 / 心拍数測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レスキュー隊員の安全確保と活動効率の向上を目指して、ワイヤレスネットワークを利用したリモート監視システムを基本としたレスキュー活動支援システムの開発を行った。無線システムとして2.4GHz帯ZigBeeを採用し、移動体の位置・高度・運動状態、および隊員の心拍数をモニタリングできるシステムを構築した。 その実証実験において、外周総延長距離約1.4kmの広範囲において4台のルータを設置し、5人の移動体のモニタリングを行った。移動体が持つポータブルデバイスにはGPS、気圧計、慣性センサを装着し、毎秒データを建物内の基地局にPAN経由で送信した。その結果、ほぼ安定(最大パケットロス10%以下)してリアルタイムの位置情報のモニタリングが可能であった。さらにポータブルデバイスと各種センサ間をBLEで接続しZigBeeに変換して送信するHybrid無線システムを採用し、市販のセンサタグなどセンサ選択の自由度を高めた。 隊員の行動推定方法として、慣性センサを用いて絶対座標系での単一の行動をパターンフレーム化し、進行方向X軸および鉛直方向Z軸の合成ベクトルに対してパターンマッチングを使用する方法を検討した。その結果、約80%の精度で歩行速度変化パターン(歩き、小走り、走り、疾走)および階段の昇降(低速上り、低速降り、高速上り、低速下り)を推定できた。 生体情報に関しては、体の様々な位置で脈波を検出し心拍数が取得しやすい耳朶装着型心拍計測装置を作成し、離散ウェーブレットによる特徴抽出を行うことで、高運動状態での心拍数推定が高精度の胸部装着型と同程度の精度(誤差10%程度)で行うことができた。また、低運動状態において心拍変動の傾きから緊張状態の検出を行えることを示した。これらを組み合わせることにより、高運動状態において加速度を利用し運動・緊張の心拍数上昇を判別できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モニタリングシステムの使用周波数に関しては、当初サブギガ帯のZigBeeの使用を検討したが、現時点で入手性が良くないこと、必要なアンテナサイズが15cm以上と大きくなること、さらにサブギガ帯の使用に関する制限(帯域の占有を防止するため、単位時間内での送信データ数が制限されている)が本研究における用途にそぐわないことから、今回は使用を断念し従来の2.4GHz帯を使用した。
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Strategy for Future Research Activity |
モニタリングシステム上の位置推定の方法として、GPSや加速度データからの推定以外にも、各ポータブルデバイスの電波受信強度を利用する方法を検討する。 現状のパターン認識による行動推定は、異なる推定対象者に関して推定精度が著しく低下する。そこで、数名の対象者のデータをニューラルネットワークで学習し、多くの対象者に提要可能な汎用性の高い推定方法を検討する。 心拍数計測に関しては、現状の耳朶設置以外で同程度の推定精度を保てる設置箇所の選定を続ける。緊張状態の判定方法に関しては、離散ウェーブレットによる特徴抽出以外の方法も検討し推定精度を高める。
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Causes of Carryover |
通信実験に必要な通信デバイスは、既存の物を改良・変更し再利用可能としたため、当初予定していた追加分が不要となった。また、PCに関しても既存の物を再利用した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度末に、改良版の通信デバイスが発売され、追加機能(短時間でのデバイスモード変更)が本研究の通信デバイスの機能拡張に利用可能である。そのため、従来のモジュール20機を改良版に置き換える。
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